雨から雪にかわる予報でしたが、雪は降らず。
雨に濡れた木々の枝が瞬時に凍って、氷の森になっている。


それでも、真冬の身が引き締まるような寒さでは、もう、ない。


コカリナを吹いている仲間たちと月に一度、呼吸と発声練習をしている。
その中のひとつに朗読がある。


いま読んでいるのは樋口恵子さんの「老いの福袋」。
文字が大きく、歯切れのよい文章なのでとても読みやすい。
ユーモアがそこかしこに散りばめられ、老いがテーマではあるが思わずクスッと笑ってしまう。
「ローバは一日にしてならず」
「『老いるショック』の教訓」
「何もしなくても忙しいのがヨタヘロ期」等々。

先日、亡くなった母の住所録を何気なく見たら、自分の兄妹の名前の横に小さな文字で弟、妹などと書いてあった。
80代後半から以前より物忘れが多くなっていた母。
自分の兄妹の名前も分からなくなってしまうかもしれない恐怖と闘っていたのかもしれない。
そう思うと何だか切なくなる。

昨日まで出来たことができなくなっている自分に苛立ち、なかなか受け入れられず苦しんでいた時期が4年ほど続いていたように思う。
苦しみの時を経て、ありのままの自分を受け入れた瞬間から、笑顔と「ありがとう」の言葉が増えていった母。

そんな母の姿を眺めながら“老いてゆく”ことを学ばせてもらったと感じている。
これからは私自身が老いと闘う⁉️ことになる。闘うというより、いかに受け入れてゆくかがテーマになりそうだ。
願わくば、ユーモアをもって“老いを面白がる”余裕をもった老人になっていきいたい。