4月30日、母は98歳の誕生日を迎えた。
昨年8月より看取り介護になり、その時には98歳の誕生日を迎えられるとは想像もしていなかった。
傾眠傾向だった母が、春の訪れとともに覚醒している時間が増えてきたように感じる。
母の手にクリームをすりこみ軽くマッサージ。
「お母さん、爪の形が綺麗だねぇ。」
看取り介護になってから、ガラス越しではなく直接会えるようになった。
言葉での会話ができなくなり、母の手を握り気持ちを伝え合う。
そうして、初めて母の爪をじっくりと見た。
縦長の爪はマニキュアが似合いそう。
もっと早くに気づいていたなら、綺麗な色のマニキュアをプレゼントしたのに、、、と残念に思う。
最近は、母の枕元でYouTubeの日本の歌を一緒に聴いている。
「この歌、一緒に歌ったよね。」
母はちょっと泣きそうな表情を浮かべて頷く。
私も一緒に泣きたいような気持ちになりながら母の瞳をのぞく。
母は一瞬、虚空を見つめる。
この世でもあの世でもない空間を見ているのだなと感じる。
そこに、私が入り込む余地はない。
母だけの世界。
寂しさを感じながらも気持ちが大きく波立つことはなくなった。
お母さん、お誕生日おめでとう♥️
畑に張られたマルチシートに夕日が反射して不思議な美しさ。
この瞬間に出合えたことで、一日が充実したものになりました。