勝手なものですね。
春の始まりを教えてくれる川音を聴きながら歩くのが、幼い頃から大好きでした。
水の流れるのをずっと眺めているうちに、何故か川に落ちてしまうことが度々あり、母によく叱られていたことを思い出します。
特に印象に残っているのは、たぶん、わたしが4歳ごろのこと。
その日は、家族で町の映画館へ行くことになっていたのですが、またまた川でひとり遊んでいて落ちてしまいました。
「もう!着替えがなくなっちゃったでしょ。」
連日、洋服も下着までも濡らして帰る私。しかも、その日は家族でお出かけの日。
母はとうとう堪忍袋の緒が切れ、叱られながら洋服を着替えさせられたことをよく覚えています。
その時、観た映画は美空ひばりの『女ざむらい只今参上』だったと思います。
叱られてしょんぼりした気持ちのままの私の目に、口上を述べる美空ひばりの背景の派手な黄色が、いまでも色鮮やかに思い出されます。