『ブレードランナー2049』感想 | カプチーノを飲みながら

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SF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編、『ブレードランナー2049』

イタリアでは、10月6日からの公開でした。

 

 

週末に観に行ったら、チケット窓口で友人達とばったり。一緒に観ることに。

やはり、イタリアでも人気の作品なんですね。

館内のポスター、3D版を鑑賞しました

 

 

 

上映開始5分

「あれ、何かがおかしい」と思ったところで、突然、映像がストップ。

 

 

どうやら、間違えて2D版を流していたらしいww

 

 

ということで、最初からやり直し。

でも誰も苦情を言わないし、謝罪もない。

イタリア人は、こういうことには慣れっこなのです。

周囲はこんな感じでした

 

 

予告編

解説

SF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編。前作から30年後の2049年を舞台に、違法レプリカント(人造人間)処分の任務に就く主人公が巨大な陰謀に巻き込まれる様子を活写する。新旧のブレードランナーを『ラ・ラ・ランド』などのライアン・ゴズリングと、前作から続投のハリソン・フォードが熱演。『メッセージ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がメガホンを取り、前作の監督を務めたリドリー・スコットが製作総指揮に名を連ねている。

あらすじ

2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。シネマトゥデイより

 

こうして感想なんて書いていますけど

SF映画を理解するだけの伊語力は、僕にはまだない!

難解な会話にストーリー展開を追うのが精一杯!

だから全てが理解できたわけではないッ!

だが、それでいいッ!

まだまだ何度も観て楽しむことができるし(という言い訳)

 

 

まず、撮影監督ロジャー・ディーキンスによる

映像美は圧巻!!!

初めてgifを貼ってみました

映像美を堪能できる2時間40分。長尺なのに没入感がハンパなかったです。

というか、僕は当然のことながらオリジナルは劇場で観ていないので、スクリーンで『ブレードランナー』の続編を観ることができて感動でした。

 

そして、映像から演出まで含めて

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品だなぁ、と思いました。

カナダ出身のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督

ヴィルヌーヴ監督の作品は、緊張感がゆったりと途切れない印象があります。

どちらかというと、ヨーロッパ映画のような雰囲気というか。

オリジナルのリドリー・スコット監督とはテンポもテイストも違うので、面食らう人もいるかもしれません。

予告はアクション映画のように編集されていますが、全く違います。ハードボイルドSFとかノワール系の映画です。予告で流れるブレードランナーお馴染みの音楽も、本編ではほとんど使われません。

 

あと、この監督は黄色系の照明が大好きですね。

(上)『ボーダーライン』(中)『複製された男』(下)本作

 

ヴィルヌーヴ監督は

前作では描かれなかった、ロサンゼルスの外の荒廃した世界を新たに創造してくれました。

全編通して監督の美意識が貫かれているんですけど、より洗練された分だけ前作のようなカルト臭は減った気がします。

前作はなんといっても、奇抜で意味不明な日本描写があった!

名セリフ「二つで十分ですよ」がありました。

何が二つで十分なのか。。。

カルト映画には、奇抜な日本描写が欠かせない。

そう実感しました(2049でも日本描写はありますけど、ここまでのインパクトはなかった)

 

 

本作の素晴らしいところは

オリジナルとは異なる独立したテーマと謎があって(ネタバレになるので書かない)、興行収入を目的にした安易な続編になっていないことです。前作のブランドに寄りかかっていない。

なんて言うんでしょうか、美術からストーリー構成からキャラクターまで製作者の「凄い作品を作ってやる」という気迫が画面から伝わってくるというか。

 

話としては前作『ブレードランナー』から続く、空白の謎を埋めていくストーリーではあるものの

本作はライアン・ゴズリング演じるKの物語です。

(関係ないけど、イタリアではKを“ケー”ではなく“カッパ”と呼ぶので、吹き替えも“カッパ”。そこは不満)

ハリソン・フォードも活躍するけどメインではない

事件の謎を追ううちに、主人公の自己存在が揺らいでいく展開が見応えありました。

Kは哀しいくらいに孤独な男でした。

観終わった後はそうでもなかったのに、数日経っても余韻が残る作品でした。

 

それから

本作の魅力の半分くらいは、ヒロインのジョイを演じたアナ・デ・アルマスと言っても過言ではないです。

『ノックノック』で既に注目されてましたが、本作で大ブレイクは必至

とにかく一途で健気な役なのです。それだけに切ない。

VRの進化系のような描写も気合いが入っていて、こんなのが存在したらネット廃人になる人がかなり増えそうです。

 

というか、本作のキャスティングは満点だと思います。一人もミスキャストなし。

過激な役作りがいつも話題のジャレッド・レト

『鑑定士と顔のない依頼人』で注目されたシルヴィア・フークス

貫録のロビン・ライト

デビッド・バウティスタ、こんなに演技のできる元プロレスラー見たことない

『オデッセイ』に続き、大作に抜擢のマッケンジー・デイヴィス

 

 

細かい不満点(以下、ネタバレは白文字反転)。

・音楽は当初、ヨハン・ヨハンソンが手掛けることになっていたものの降板。

その後、ハンス・ジマーとベンジャミン・ウォルフィッシュが担当することになりました。

でも僕は、ヴァンゲリスの音楽が聴きたかった!

だって、ヴァンゲリスご健在じゃん。2,3曲だけでもお願いできなかったんでしょうか。

いや、ハンス・ジマーの音楽悪くないですよ、むしろとても良いんですケ・ド・ネ。

ヴァンゲリスの音楽はもっと自己主張があって雄弁だったと思うんですよ。

全然関係ないけど、最近の映画音楽界は“困った時のハンス・ジマー”になっている気がします。

いくらなんでも、LAPD(警察署)のセキュリティは甘過ぎじゃないだろうか。署内で人が殺されているのに、警察がラヴを追わないのは何故なのか。監視カメラくらいあるはずだし、居場所もすぐ特定できるはず。

・“上映時間163分は長過ぎる”という意見を目にしましたが、確かに中盤のいくつかの場面でカットできる箇所はあったかもしれません。舞台美術が素晴らし過ぎて映像をカットしたくなかったんじゃないか?と思うような場面もありました(それから、サスペンスが1つ減ってしまう不要なシーンが冒頭にあった)。ただ、個人的には長くは感じなかったです。が冒頭にあった

 

とはいえ、ブレードランナーの素晴らしい続編に変わりはないです。

一応、この後もストーリーを続けることは可能かもしれないですが、さすがにこれ以上はハードルが高いんじゃないでしょうか。

ブレードランナーの映画は「二つで十分ですよ」(上手い事言ったような顔で)

もしかしたら、数年後にはディレクターズカット版も出るのかな?楽しみに待ちたいと思います。

 

ネタバレ含む徹底解説はこちらのサイトにありますので、興味のある方はどうぞ。

 

 

 

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は

ブレードランナーと本作2049の間の30年間の出来事を探求するために、3つの短編映画を依頼しています。2049の鑑賞前に観ておくと、世界観が更に広がります。

 

ブレードランナー ブラックアウト2022

英語版しかなかった・・・(何故、日本語版を消すんでしょうかね)

 

2036:ネクサス・ドーン

こんなに濃密な短編をYoutubeで観れてしまうなんて

 

2048:ノーウェア・トゥ・ラン

デビッド・バウティスタの演技が堪能できる短編

 

フィリップ・K・ディックによる原作

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

図書館で読んだ記憶があるけど、全然意味が分からなかった印象がある。

 

 

前作のファイナルカット版

 

ヴァンゲリスによるサウンドトラック