『クーデター』感想 | カプチーノを飲みながら

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イタリア度95%、正直90%、おもいやり90%設定のブログです。

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パリの連続テロ事件が記憶に新しいのですが

イタリアに住んでいると

欧州でテロ事件が起こった時に“国境が地続きであることの怖さ”を実感することがあります。

それから、近隣諸国が政治的にどういう状況か知っておくということ。

映画『クーデター』(伊題:No Escape-Colpo di stato)を観て感じたことです。

 

あらすじ

仕事の関係で東南アジアの某国に家族と一緒に移り住むためにやって来たジャック(オーウェン・ウィルソン)だったが、到着した翌朝にクーデターが発生。暴徒により外国人が次々と殺害されていく中、滞在先を襲撃されたジャックは妻子を守るため、安全な場所を求めて逃げ回る。現地で知り合った旅行者ハモンド(ピアース・ブロスナン)の助けで何とか命拾いしたものの、思いも寄らない現実が彼らを待ち受けていた。シネマトゥデイより

予告編はネタバレ映像が含まれているので貼りません。

主人公が海外赴任の翌日にクーデターが勃発。

 言葉も通じない、土地勘もない異国の地で、妻と二人の娘を連れて逃げないといけない、というスリリングな展開。

海外に住んでいると、より実感のこもった恐怖を感じます。

僕には妻も娘もいませんがハラハラしたので、妻子持ちの人はさらに感情移入できると思います。

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“普通っぽい夫婦”というキャスティングのオーウェン・ウィルソンとレイク・ベル

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子役のスターリング・ジェリンズとクレア・ギア

足手まといな娘二人がとてもリアル!

命を狙われているのに、ぬいぐるみを気にする場面とか。 家族を連れて逃げることがいかに困難か、ということが分かります。 全体的にとてもリアリティがありましたが、途中のあり得ないアクションが非現実的だったのがとても残念。 それがなければ、傑作になっていたと思います。

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007を思わせるピアース・ブロスナン 007時代はあまり好きではなかったけど、今回の枯れた感じは良い

興味深かったのは、クーデターの原因が明らかになる場面。(以下、ネタバレ白文字反転) 政府が水道事業を外資(アメリカ)に委ねたことが原因で、さらに主人公はその企業の社員なのです。 地球の水資源は枯渇しつつあり、これからは石油資源よりも水資源の時代といわれています。 水道インフラを海外企業が担うということは、国を支配されることと同じです。 人は水がないと生きていけないのですから。 (『007/慰めの報酬』も実は水道利権の話だったし、水道問題は今日的テーマだといえる) という背景を考えると、暴徒と化している国民も、自分達の家族を守るための行動だということが分かります。 このあたりの筋運びがとても上手だと思いました。 極限状態では、家族を守るために人を殺さねばならないという展開には考えさせられたし、ラスト、主人公一家が“ベトナム国境”に救われるという展開も、皮肉が効いていました。 極論ですけど、“政治を知る”ことは“生き残ること”だと思いました。

自分の国が海外でどういうことをしているのか、ということも含めて。

僕はイタリアにいながら、伊語ニュースにあまり触れていないので、もう少しイタリアや近隣諸国のことを勉強しておく必要もあるなと感じました。

本作の舞台は“東南アジアの某国”という設定ですが、ロケ地も製作もタイが関わっているそうです。 しかし、タイでは上映禁止らしいです。

 

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