ほぼ2年前に草稿を提出した論文が、ようやく出版された。

 

一時期は、良く分からない理由でリジェクトされかかったから、とても嬉しい。

 

この論文の重要な部分部分の一つは、ジェンダー・バイアスを定量化し、家計固定効果モデルを使ったICTスキルの分析のグラフ。

 

15歳から24歳の同じ家に住んでいる男性女性兄弟のICTスキルにどのぐらい差があるかという分析で。同じ家に住んでるから、経済的状況とか親の教育方針とか社会階層とかは共有されてる兄妹・姉弟間で、どのような差があるかを示している。

 

基本的には(驚くほど)各国共通して、女性ほうがICTスキルが無い。という話。

 

図5は、ジェンダー・バイアスが裕福な世帯で増加する傾向にあることを示している。

一つの国ごとに、5つ〇があって、上から順に貧しい家庭からお金のもちの家庭になっていて、お金持ちの家庭(各国の一番下の〇)が左側にズレて赤い色をしているというのは、ジェンダーバイアスが0(各国の真ん中の線)から左側に離れていく。この図では、左側に行くほど女性の方がICTスキルが無いという事なので、ジェンダーバイアスが強まるという話。

 

我々の知る限り、これはSDG4.4の指標を用いてICTスキルのジェンダー・バイアスを定量化した最初の論文で、主な収穫は、一般的に、アクセスやICTトレーニングを提供するだけではジェンダー平等を達成することはできず、ジェンダー介入を伴わないICTスキルプログラムはジェンダー格差を拡大する可能性が高いということである。ほかの言い方すると、学校にコンピュータ買ったり、ICTの授業をお金かけて政策投入すると、ICTスキルの男女間の差が開くので、ジェンダーを考慮してそういうプログラムは設計してくださいね、という話。

 

論文はこちらへ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405844024091588#fig3