しょっぱいとか甘いとか苦いというのには実体が無い。存在しないのだ。
何かの原因で味蕾が反応して信号を出す。
その信号を脳が受けて処理した結果作り出した感覚が味覚。
つまり、人が勝手に感じているだけ。
こういうことは知識としては知っていたけど、実感することは無かった。
しかし、聴神経腫瘍の症状で味覚障害が出て、
味を感じなくなるところまではいかなかったけど、感じ方が変わるという経験をした。
その時に、味というのは自分で作り出している、いわば気のせいなのだと思い知った。
「カレーの味」というフレーズがある。
カレーの味は実際に確実に感じる。
でもカレー自体には味は無い。
あれはカレーが持っている味を人が感じている訳ではなく、
カレーを食べた人が勝手に感じているだけ。人が自分の頭の中で味を作り出しているのだ。
甘味、塩味、酸味、苦味、うま味と言った味覚に加えて、香り=臭覚によって味は作り出されているらしい。
しかし、神経がちゃんとつながっていて、味覚や臭覚の情報が脳に伝達されていても、
味が分からなくなることはあるという。
つまり、いろいろな味や臭いを、私見だけど舌ざわりのような触覚や見た目の視覚、ASMRのような聴覚も含めて、
総合的に脳が加工して味を作り出している、と思う。
だから、この味覚を作り出す処理が上手く出来なくなると味の感じ方が変わる。
例えばカレーの味の要素は脳で感知しているのに、カレーの味だと感じなくなる。
辛いとか甘いとか苦いとかがバラバラに感じられて、いつまでたってもカレーの味にならないという感じ。
どうやら、味には過去の経験も関係しているらしい。
楽しいことがあったときに食べた味は美味しく感じたり、嬉しくなったりするのはそのせいだろう。
記憶まで味の要素だとすると、今感じている味は、自分の人生の結果初めて味わえると言えるのかも知れない。
かと思えば、空腹の時は何を食べても美味く感じたりする。
あれは身体が栄養分を渇望しているからだろうか?
何にしろ、味を失うと言うか、今まで感じてた味が感じられなくなるというのは何とも寂しい経験だった。
どうやって味が作り出されているのかは相変わらず分からないけど、
人生を豊かにする要素として、味は欠かせないと思う。