自分のやりたいことが分からないと思っていた。
自分は何がしたいのか?
と考えた時に、それの中身は
自分がやりたい仕事・作業は何か?
ということにすり替えて考えていたから、お金になるとか、仕事として成り立つこと限定で考えていた。
そう考えると、自分がやりたいことは無い、分からないとなってしまった。
しかし、聴神経腫瘍という脳腫瘍が出来て、それが大きくなって脳を圧迫するようになって、
いろいろな症状が出て来てからだんだん考えが変わって来た。
病気の症状が増えたり、悪化することで今まで出来たことが出来なくなる。
それも当たり前に出来たことが出来なくなる。
真っ直ぐ歩くとか、食べ物を美味しく頂くとか、そういうレベルのことが出来なくなる。
そうなると、それが、今まで当たり前に出来たのに出来なくなったことがやりたいと思った。
そういう体験をしてから、脳腫瘍を切除した。
するとそれまで出来なかったことがまた出来るようになった。
あれだけ熱望して出来なかったことが、当たり前のように出来るようになったのだ。
今の所、特別なことを何もしていなくても、
やりたいと思ったこと、食事や散歩、トイレや風呂が、つまり五体が満足に動き、意識もはっきりしているだけで
何となく嬉しいと言うか、和やかな気持ちになる。
そういう気分は今まであまり味わったことが無いと感じるけど、これが幸せだと思う。
今までは、何かに成ったとか、何かを成し遂げたとか、何かを得たとか、他人に認められたというような時に、
感じる達成感や手応えを得たと感じた時にときに感じるのが幸せなんだと思い込んでいた。
今は、それは達成感や手応えを得たという喜びで、幸せの一種かも知れないけど、
それだけが幸せではないと思う。
むしろ、そういうものは自分の思考が作り出している感覚で、本来の幸せではないのかも知れないとさえ思う。
幸せにはもっといろいろな時に感じられる沢山の種類があると思う。
だから自分がどんな状態でも、
ぼくのように脳腫瘍で不自由を感じているときにも幸せを感じられる考え方、在り方は有るだろう。