題名が気になって、この本を読んだ。
著者は児童精神科医で、
精神科病院や医療少年院で勤務されているらしい。
『医療少年院は、
特に手がかかると言われている発達障害・知的障害を持った非行少年が収容される、
いわば少年院版特別支援学校といった位置づけ』
らしい。
『ここに来る少年たちは、それまでにこれでもか、これでもかと言うくらい非行を繰り返して』
いるようだ。だから著者が赴任したての頃は、
『凶暴な連中ばかりでいきなり殴られるのではないか』
と思っていたらしい。
しかし、
『実際は人懐っこくて、どうしてこんな子が?と思える子もいました。』
どうやら人間性がおかしくて犯罪を繰り返している訳では無い、
という少年が多いようだった。
では、どこに問題が有るのかと言えば、
・簡単な足し算や引き算ができない
・漢字が読めない
・簡単な図形を写せない
・短い文章すら復唱できない
つまり認知機能が弱くて学習面に支障が出ているらしい。
ここでいう認知機能とは、
記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断といったいくつかの要素が含まれた知的機能
だという。
五感を通して外部環境から得た情報を、
整理しそれを基に計画し実行し結果を作り出していく過程で必要な能力が認知機能だ。
すべての行動の基盤でもあり、教育・支援を受ける土台でもある。
こえrが十分に開発されていないから、
丸いケーキを3等分するということが出来ない。
本の題名の由来だ。
* * *
本の内容はまだ続くけど、
ぼくはこの時点で結構驚いていた。
ぼくは今まで知的に人より著しく劣っていると感じたことは無かった。
また、バカだなと思う人は居ても、この本に出て来る程低いレベルの人は居なかった。
いや、正確には居た。
しかし、そういう人はぼくは全く相手にして来なかった。
無視すると言うより、目に入らない感じだった。
高校以降は知能的に問題を感じる人には合わなくなった。
だから、非行少年のことを考えたことが無かった。
こういう非行少年は、必ずしも知的障害や発達障害という訳では無いという。
検査などでは、普通より少し下という位置付けにされていることも多く、
だから少年院に来るまで認知機能が低いことが発覚しないのだ。
ここまで自分で書いてみて、違和感を覚えた。
* * *
どうもぼくは、かわいそうな人達が居て、
困っているようだ。大変そうだな~
というスタンスだと感じる。
それはその人や、その人の周りの人たちの問題で、
ぼくには関係無いしどうしようも無い、みたいな。
そういうことだろうか?
何かの基準に達していない人たちが、
まず弾かれて一般社会から排除されてしまう、
という社会構造こそ問題なんじゃないか?
と思った。
ぼくが、会社で働いていたときの恐怖の元凶はここに有った気がする。
”自分の能力(全てにおいての漠然とした能力)は平均より上だろうか?
平均を下回ったら、馘になるとか大変なことになるに違いない。”
この考えから来る恐怖をバネにして頑張っていた部分は有る。
だから気持ちの上では、自分のことで手一杯になって他人まで考えが回らない、
という考えだった。
この考え方が、
世知辛い社会、冷たい社会を成立させているんじゃないか?
と思い至って、ゾッとした。