野村屋製鋏所 | 庭師記  ー 庭は師、業は己 ー

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庭師である日々のあれこれや、好きなもの大切な事あれこれ。

三寒四温の日々、皆様如何お過ごしでしょうか?

最近花粉がヒドいみたいですね。周りのみんなはヘクシュヘクシュしてます。


そして僕も、花粉症デビューです、、

書きます。



今現在、剪定鋏は一丁だけを酷使してるんですけど、周りの方のを見とったり色々考えるうちに物欲は増し、欲しいモノがどんどん増え、、、

先日、倉庫の母専用の棚を覗くと錆びっ錆びの剪定鋏が引っかけてあった。
母に尋ねると、昔親父がいらんくなったでくれたものだと言う。今はカボチャのヘタを切るのに重宝しとるらしい。


良く見ると、『村久』の銘。ああぁ!あの村久か!とすぐ理解。(180mmかと思っとったら200mmでした)
村久さんの剪定鋏は評判が良いみたい。周りの方も口を揃えてそう言う。
頂戴!と、代わりの鋏を用意するとの約束で有り難く頂戴する。
そして村久さんの正式名、『野村屋製鋏所』へ直々の研ぎのお願い。



果たしてちゃんと直ってくるのだろうか、、、







待つこと3週間程。



返ってきた!
ヤバい!!これはもはや新品や!!


持ち手は錆がかなり進行していたので限界あったみたいですが、刃は完全に蘇りました。
どこかで聞いたセリフやけど、『刃物は何度でも蘇る』とはこの事を言うのだと思った。
刻印が薄れるくらい削ってあるけどまだまだ使える。ボルトも新しいのにしてくれたるし、バネも替えてくれたのか修正してくれたのか、なんか強くなっていた。
これで修理代、送料全部込みで1980円は安い。いや、金額で判断するのは失礼やな。とにかくありがとうございました。


と、じっくり眺めているとなにやらおかしいぞと。なんか刃と平行に金色の線が。



こ、こ、これは?!!ロウ付けの後?!

ロウ付けしたる剪定鋏は飛庄が有名ですね。飛庄の青紙ロウ付けも欲しい鋏に上がってました。

でも村久は知る限り全鋼。偽物??これは聞くが早いと思い、お礼を兼ねて野村さんとこ直々に電話して聞いてみる事に。



結果が出ました。

これは正真正銘『村久』特製の剪定鋏。
ただ、今現在出回っている村久さんとこの剪定鋏は全鋼。

この鋏は3、40年前に造られた鋏らしい(どこを見て判断されたかは聞いてません)
当時、野村さんとこの剪定鋏は真鍮のロウ付けで造られていた。鋼はスウェーデン鋼。スウェーデン鋼といえば斧では有名なグレンスフォシュもそれだ。詳しくはわからんけど凄い鋼。

3、40年前といえば親父が庭師初めて間もない頃だろう。その頃からこやって形残して存在しているのは凄い。刃物は死なない。


先日初めて切ってみた。

良く切れる。
でも、失礼になるかもだけど、思った程感動はしんかった。



でも、本当の感動をするのは使い慣れてきた頃。
初めて切った時みたいに良く切れるんやけど、感触が完全に変わった!木が柔らかい。反動がない。握りやすい。動かしやすい。
当たりが出たからなのか?ただ慣れてきたでか?なんでかわからんけど、今まで味わった事ないような心境。ほんと、良く切れる。

今まで使っとった兼芳の剪定鋏も切れる鋏やと思うけど、ちょっと衝撃を受けてしまった、、
なので、暫くはこの鋏に頑張ってもらいます(^v^)(金欠ってのが一番大きいです)

良いもの手に入れました。親父、母さんありがとう!大事にするね!!

そして、直して下さった野村屋製鋏所さん、本当にありがとうございました。また何かあったらよろしくお願いしますm(_ _)m