プチさんのナイトルーティーンの中に、

歯磨きをしながら本を読んでもらう

というものがあります。



その時には幼稚園からもらう本やこどもちゃれんじの年中までの絵本を読むことが多いのですが、

障害者でも読みやすいというLLブックの存在を最近知り、内容的には子供向けというわけではないものの将来的に触れることになる世界についてもそうした本を通じて親子共々早くから認識を育てておくのもいいかもしれないと思い、少しずつ図書館で借りてそれを読んでいます。



需要量のためかどうしても一冊が高いため、ひとまず借りて内容を確認してから必要そうなものを購入していこうと思っています。



そのうちの一冊に

「美術館にいってみた」

という本があります。


内容は主人公の猫の男の子が鳥の絵のポスターに惹かれて、美術館へ実物の作品を観に行くというシンプルなお話です。

美術館がどんなところであるかということや鑑賞のルールがわかりやすく書いてあり、今後学校行事でこうした様々な展示などの見学に行くその前に読んでおくのに良さそうです。




プチさんがこの本をいたく気に入り、借りてから数度楽しく最後まで読み聞かせを聞いてくれています。

プチさん自身も絵を見たり描いたりするのが好きなので美術館という空間にも興味が湧いていそうです。



そのお話の絵の中に、ベビーカーで赤ちゃんを連れて鑑賞に来ている猫の親子がいます。

それを見るとプチさんは必ず

「ちっちゃいときにママと一緒に美術館行って、ベビーカーでぐうぐう寝ていたんだよね?」

と尋ねてきます。

最初に読んだ時に、

「一度だけベビーカーで一緒に美術館に行ったんだよ」

と教えたからです。



忘れもしない、日本がコロナ禍に入るかもしれないという時期の、上野の東京都美術館で開催されたハマスホイ展。

どうしても行ってみたい展覧会で2歳になったばかり、まだ障害を疑ってみてもいない頃のプチさんを一人で連れて、癇癪を起こして泣いたりしないか少しヒヤヒヤしながら美術館で借りたベビーカーに乗せて回りましたが、移動の疲れかプチさんは静かに眠ったままでいてくれました。



これがプチさんの今までの人生唯一の美術館訪問で、それ以降は私の実家に帰省した時や夫に面倒を見てもらえる日に一人で行くことにしています。



出来ることならば一緒に回ってみたい。



でも今はまだ怖くて試すことが出来ません。

あの頃と違って自分の足で歩き回るようになったプチさんが好奇心の赴くままに走ったり、大声を出してみたり、人に話しかけたり、疲れたと癇癪を起こしたり…。



行きたい展覧会はたくさんあるのに、行こうと思えば時間は取れるはずなのに、そのことを考えれば考えるほど二の足を踏んでしまい結局機会を逸したまま見送った展覧会がいくつあったことでしょうか。



だけどたとえばこの本を通じて少しずつ少しずつ、そうした場についての理解が出来るようになって、今よりも自分の気持ちのコントロールが上手になったら、

いつか好きな展覧会を一緒に回ってみたいなあと思っています。