本日はクリスマス・イブ。
ことしは転勤で札幌に引っ越してきたので外は雪景色。
天候ではクリスマス気分を存分に味わっています。
物価高に揺れたことしですが、クリスマス商戦はどうなっているのか。
今月12日の朝日新聞では「メリハリ消費」という言葉が出ていました。
プレゼントの定番であるアクセサリーでは、物価高にもかかわらず
例年より高価格帯の10~20万円の商品が好調だというのです(そごう・西武の例)。
担当者によると理由は「メリハリ消費」。
普段は節約していても、大切な人へのプレゼントや
「自分へのごほうび」に奮発する人が多いとのこと。
人は「勝負する時はする」ということでしょうか。
これを見て、クリスマスに関連したある曲を聴きたくなりました。
エラ・フィッツジェラルド(vo)とジョー・パス(g)のデュオによる
「Gee Baby Ain't I Good To You」です。
この曲は1929年にドン・レッドマンがアンディ・ラザフと共作したものです。
歌詞の内容がなかなかユニークで、こんな一節があります。
Bought you a fur coat for Christmas
A diamond ring
A big Cadillac car, and everything
What makes me treat you the way that I do?
Gee baby, ain't I good to you?
クリスマスに毛皮のコート、
それにダイヤの指輪、果ては大きなキャデラック(!)まで
きみが望むすべてのものを買ったというのに・・・
どうして僕はここまでやっているんだ?
それでも僕じゃダメだっていうのかい?
(拙訳)
ここまでして報われなかったなら、本当に悲しいですね・・・。
エラは地の底から這いあがって来るかのような大きなスケールと
彼女らしいチャーミングさを盛り込んで見事に歌い上げています。
エラとパスがデュオで共演したのは、
この曲が収録されているアルバム「テイク・ラブ・イージー」が初めてでした。
しかし、初の取り組みとは全く思えないほど2人の息が合い
完全に一体化した音楽になっています。
曲の全てがバラッドで、クリスマスの夜にちょっと温かい気持ちになりたい時、
お薦めできる1枚です。
1973年8月28日、ロサンゼルスで録音。
Ella Fitzgerald(vo)
Joe Pass(g)
パスは曲によってエレクトリックとアコースティックの
ギターを使い分けていて、これがいい効果を生んでいます。
⑦Gee Baby Ain't I Good To You
パスはエレクトリック・ギターを使っていますが
訥々としたタッチがあたかもアコースティックのような
親密な雰囲気を生み出しています。
パスのゆったりとしたイントロに導かれて
エラのブルージーな歌声が入る。
最初のコーラスではダイヤの指輪を贈っても満たされない思いを物憂げに、
少し儚さもあるトーンで語りかけます。
バックのパスは振り子のような心地よい「揺れ」を感じさせ、
この歌のユーモラスな部分を支えています。
続くパスのソロはゆったりさは維持しつつ、
彼らしい「どこにいくか分からない」フレーズを織り交ぜて
この曲に「ピシっとした」緊張感をもたらします。
パスのソロを受けて、エラがスケールを増して再登場。
大きな声量で「どうしてダメなんだ・・・」と迫ってきます。
特に Love makes me treat you the way that I do?
と歌詞を変えている一節は愛情が人を狂わせるところを
力強くもちょっと可笑しく描き出しています。
クリスマス時期、こういう人もいるんですかね・・・
このほかヴァースから始まる⑤Lush Lifeは
パスのアコースティック・ギターが光っています。
また、⑨I Want To Talk About You のエラの貫禄もいいです。
それにしても「君の望むことをしたのに・・・」というすれ違いは
減税を訴えて国民に全く響かなかった岸田首相にも重なりますね。
国民の本当のニーズを考えないでバラマキをしようとした首相には
この歌を聴いてちょっと反省してもらいたいような・・・。
来年はピシッとした1年になってほしいものです。