大型連休がスタートしました。
ことしは5月1日(月)、2日(火)が平日ですが、
ここを休むことができれば9連休という方もいるのではないでしょうか。
私は仕事や個人的に取り組んでいたことがひと段落つき、
連休に入ってやや放心状態です。
ブログも時事的なお話は一休みして、
単純にこの時期に取り出した作品をご紹介しましょう。
マーク・エムラー(p)の「Walking in L.A.」です。
マーク・エムラー(1938-1999)はフランス・リヨン生まれ。
主にフランス・パリで活動し、同地に住んでいた
ケニー・クラーク(ds)らと共演しています。
日本ではステファン・グラッペリ(vl)のサイドマンとして知られているかもしれません。
内容はタイトル通り、ロサンゼルスの青空の下を歩いているかのような
軽快さ、明るさに溢れています。
サイドマンがレイ・ブラウン(b)、シェリー・マン(ds)という名手で
押さえるところは押さえているのも好感が持てます。
連休に何も考えず、部屋で流しているだけで気持ちいいいですし、
ヘッドフォンで聴きながら外を散歩するのもいいでしょう。
今回、聴きなおしてみてLPのB面にあたる後半の曲が良いのにも気が付きました。
ただリラックスしてボーっとしたい時のジャズ、どうぞ。
1980年3月27日、カリフォルニア州ハリウッドでの録音。
Marc Hemmeler(p)
Ray Brown(b)
Shelly Manne(ds)
①Yapad de papa(Betty's waltz)
エムラーのオリジナル。
おそらく、アルバムの中でこの曲の印象だけが
残っているという方もいるのではないでしょうか。
明るく可愛らしいワルツ。
子どもが踊っている風景が目に浮かぶような
元気の良さと可憐さがあるメロディから始まります。
続いてどっしりとしたベースと切れのいいドラムスに乗って
エムラーのピアノ・ソロが軽快に跳ね回ります。
ワルツではあるのですが、スイング感が全く損なわれずに
快調に進んでいくのが楽しい。
特にリズム・チェンジで通常の4ビートになったところから
喜びが増したかのように突き進んでいくのが気持ちいいです。
シェリー・マンとの小節交換で終盤がピシッと締まるのも聴きもの。
⑤Walking in L.A.
こちらもエムラーのオリジナル。
ややブルージーなトーンのテーマを受けて
すぐにピアノ・ソロに入ります。
これはエムラーのスイング感を堪能するトラックでしょう。
ちょっと低音に寄せながら力強いフレーズを繰り出してきます。
それが黒いノリにはなりきらず、
白人ならではの軽快さがあるところがヨーロッパのピアニストらしい。
レイ・ブラウンの重みのあるソロ、
シェリー・マンの音数は多くないものの説得力のあるソロは
それぞれの個性が良く出ています。
⑥Do You Know What It Means
Louis AlterとEddie DeLangeによるバラッド。
エムラーのピアノがしっとりとした音色を帯び、テーマを提示します。
これにベースがしっかりと重心をつけ、
ドラムがブラッシュ・ワークで寄り添います。
ピアノ・ソロに入ると、音を選び抜いたように訥々と
語りかけてくるようなプレイとなります。
エムラーの歌心が良く表れており、アルバムの中でも
ぜひ耳を傾けていただきたい集中力のある演奏です。
これに対し、ベース・ソロにスピードがあり
躍動感があるのも面白い。
レイ・ブラウンは単なるバラッドに終わらせないように
仕掛けてきたのかもしれず、さすが名手です。
ラストの⑧I'm an Old Cowhand のリズム・チェンジも楽しいです。
これから散歩に出かけて、仕事で凝り固まった頭と体をほぐしてきます。
みなさまも良い連休を!