ティアーズ・オブ・ジョイ/タック&パティ | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

 

きょう発表された新型コロナウイルスの新規の感染者数は全国で3031人。

初めて3000人を超え、過去最多になったとのこと。

 

これという打開策もないままズルズルいくのかという恐ろしさがある一方、

「恐ろしさ疲れ」とでも言いましょうか、「もう静観するしかない」という気分もあります。

 

感染が再拡大してから週末はさらに出かけるのを控え、基本的に自宅近辺で過ごしています。

きょうは近くの公園でランニング。

距離を測るアプリを見てみると、今年は去年より長く走っています。

どうやらランニングがきっちりとした習慣になり、距離が伸びているようです。

 

以前はランニングをする時、特に何かをしながらということはなかったのですが、

毎週のように走っているとヘッドホンで

「音楽でも聴こうか」と思うようになりました。

ただ、単に音楽を流していると途中で切り替えたくなったりして面倒かなと。

そこで、ラジオをタイムフリーで聴けるアプリ「radiko」を使うことにしました。

 

聴いているのはジャズ番組、と言いたいところですがランニングのリズムには合いません。

そこで「山下達郎のサンデー・ソングブック」としました。

若いころは週末の買い物に行く時にドライブしながら聴いていましたが、

しばらくご無沙汰していました。

時間を問わず聴けるアプリの登場でランニングのお供になったわけです。

 

本日は今月6日(日)に放送済みの番組を聴きました。

このご時世で、テーマは「疫病退散!年忘れリクエスト大会」。

これがなかなか面白く、リスナーのリクエスト曲が

「トラブル・ノー・モア」や「ソウル・ヴァクシネイション」(ソウル・ワクチン?)など様々です。

 

看護士のリスナーからのお便りも紹介されていました。

最近はコロナ患者が増え、重症化するなど明らかにフェーズが変わっているが、

看護への思いを持ってやっていく。

この番組で医療従事者への応援の言葉に励まされているということでした。

多くの方がそれぞれの思いを持ちながらこの冬を過ごしている・・・。

 

自宅に戻ってからこのブログで少しでも励みになるような

「疫病退散ジャズ」をご紹介しようかと思ったのですが、どうもうまく選べません。

そもそも私が励ましの押し売りをしてもどうしようもないわけで、

ここは素直に自分の心を温かくしてくれる音楽を聴くことになりました。

タック&パティのアルバム「ティアーズ・オブ・ジョイ」に収録されている

「タイム・アフター・タイム」です。

 

タック&パティはギターとヴォーカルのデュオ。

ギターのタック・アンドレスとヴォーカルのパティ・キャスカートは夫婦です。

タックの躍動感あるプレイとソウルフルで温かいパティの声が

鮮やかな対照を成したり、時に寄り添ったりするユニークなコンビネーションが特徴です。

 

1979年から共に活動している2人。

「ティアーズ・オブ・ジョイ」は

1988年に発表されたデビュー作です。

驚くのは収録がいわゆる「一発録り」であること。

全く編集が施されていないため、あたかもライブを聴いているかのような臨場感があるのです。

 

「タイム・アフター・タイム」はご存じシンディ・ローパーの曲。

このアルバムでは4曲目にさりげなく収録されていますが、

数あるカバーの中で白眉だと思っています。

シンプルでありながらハートがある素晴らしい演奏。

 

録音年月日はライナーに記載されていません。

収録はカリフォルニアのスタジオで行われました。

 

Patti Cathcart(vo)

Tuck Andress(g)

 

④Time After Time

まず、ギターのイントロが良い。

タック・アンドレスのギターにはものすごいグルーヴがあるのですが、

イントロは淡々と、でもリズミックなので期待を持たせてくれます。

そこにスッと入ってくるパティのヴォーカル。

こちらは語りかけるような歌声ですが、その背後に強いパワーを感じます。

よく知られる「You say “go slow”・・・・」という歌詞からそのパワーが少しづつ表に出て、

サビのドラマチックな展開へとつながっていきます。

背後のタックのギターは弦を力強く弾くパーカッシブな奏法で

この流れに大きな役割を果たしています。

後半の聴きものは2分40秒過ぎのタックの間奏。

15秒ほど?のごく短いものですが、弦をパーンと連打するのに

実に優しい思いが込められたサウンド。

ここまで印象的でコンパクトな間奏は滅多にありません。

これに続いてパティのサビが続くともう彼らの世界に引き込まれ

「もしあなたが倒れても 私は受け止める・・・」という歌詞の世界観そのままに

誰かがしっかりと寄り添ってくれる時の温かな気持ちになることができます。

 

コロナの影響が長引く中、怖いのはやはり「疲れ」です。

精神的に追い込まれることがないようにするにはどうすべきか・・・。

せめて達郎さんのラジオから発せられたような

きつい立場にある方々に届くメッセージと音楽がある世の中であってほしいです。