今年の「紅白歌合戦」の司会者が発表されました。
白組が「嵐」、紅組が「松下奈緒」という人選は、
まあ順当といったところでしょう。
しかし、私がこのニュースに接して驚いたことがあります。
松下奈緒さんってまだ25歳だったんですね!
連続ドラマ「ゲゲゲの女房」で
主人公の長い道のりを演じていたこともあり、
何となく30歳ぐらいなのかなと思っていました。
25歳にしてあの落ち着き、大したものです。
与えられた役柄が彼女を年齢以上に
成長させてしまったのでしょうか。
ジャズでも「年齢以上」のことを成し遂げてしまった人がいます。
偉大なプレイヤー、チャーリー・パーカー(as)もその一人です。
ビ・バップを創り出し、「モダン・ジャズの父」とも言える人物。
彼が亡くなったのは34歳の時でした。
しかし、プレイを聴くと、年齢よりはるかに成熟したものを感じます。
「チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス」というアルバムは、
「成熟した」パーカーが聴ける一枚でしょう。
ストリングスをバックに、いつもよりロマンチックに、
抑制された表現が目立ちます。
録音時のパーカーはまだ29~30歳。
ドラッグとアルコールに溺れたことで知られる彼。
苛酷な人生が「年齢以上の老成」を
もたらしてしまったのでしょうか。
私が持っているCDは、3つの「ストリングス・セッション」を
録音順にまとめたものです。
そのため、LPなどをお持ちの方とは曲順などが違うでしょうが
ご容赦ください。
1949年11月30日、1950年7月5日、9月16日、
NYでの録音。
なお、9月のセッションはカーネギーホールでのライブです。
個人的にはライブのパーカーが生き生きしているような
気がします。
メンバーは多いので割愛しますが、パーカーの他に
Stan Freeman(p)
Al Haig(p)
Tommy Potter(b)
Roy Haynes(ds)
Ray Brown(b)
Buddy Rich(ds)
といった人たちが参加しています。
①Just Friends
1949年のスタジオ・セッション。
ジミー・キャロルによるイントロのストリングス・アレンジは
正直、現代では相当古臭く聴こえます。
しかし、パーカーがメロディで入ってくると、
演奏が一気に新鮮になってしまうから不思議です。
ゆったりしたストリングスのアレンジを無視するかのように、
アルト・サックスが早いテンポで疾走するのです。
一瞬、「このままストリングス無視の展開なのか?」と思うのですが、
パーカーは次第にテンポを落とし、
ちゃんとメロディ部を「音楽」として着地させています。
ソロに入ると、もはや彼の独壇場。
伸びやかな音色であふれ出るフレーズを
連打していきます。
それが全て「歌」になっているのですから、驚くばかり。
⑯April In Paris
こちらは1950年9月のライブ。
ストリングス入りではありますが、
ここでのパーカーのメロディ解釈は力強く、「鋭い」。
音に鋭利な刃物のような切れ味があるのです。
ストレートに吹いているだけなのに、この説得力は何なのか?
アル・ヘイグのピアノが、パーカーの熱さに対して
冷静さを保っており、見事なコントラストをなしています。
⑱Easy To Love
⑯と同じ日のライブ。
こちらはストリングのアレンジが小粋で、現代でも通用しそうです。
ストリングスの柔らかい「はやし立て」に乗って、
パーカーがアルバムの中でも白眉のソロを吹きます。
吹けば吹くほど興が乗るかのように、グイグイ進む様が圧巻。
聴衆もノック・アウトされたようで、大きな拍手が起きています。
正直、私の文章力では、パーカーの魅力を描くのは無理・・・
改めて、一つだけ言えるのは、これが30歳そこそこの
「若者」が演奏した音楽にはとても聴こえないことです。
パーカーが短い人生の中で表現したものの「厚み」に、
40代に達した私は圧倒されるばかりです。
