オールナイト・セッションVol.2/ハンプトン・ホーズ | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


昨夜、午前0時をまわったところで

携帯が鳴りました。


このとき、私は新宿駅のホームにいました。

職場に新しい仲間がやってきたので

歓迎会が渋谷で行われ、その帰りだったのです。


携帯の表示を見ると、

先ほど別れた会社のスタッフからでした。

「何かあったかな?」と、不審に思い電話を取りました。


すると、

「すぐに戻ってきてください!○○さんが話したいと言っています」

というスタッフの声。

相手の声から深刻さは感じられなかったので、

単なる二次会だと分かりました。


既に渋谷から離れていた私。

普段なら帰るところですが、○○というスタッフも含め、

会社の若い人たちと飲む機会が減っていることに気づきました。

たまには話を聞いてみるか・・・

そんな気持ちになって、新宿から引き返したのでした。


渋谷の居酒屋で始まった二次会は、

酒が進んだこともあってフランクな場になりました。

○○というスタッフを始め、若手5人が次々に

職場や仕事のことを語り出したのです。

「あの人がいま精神面で問題を抱えている」とか、

「仕事のレベルが落ちているのではないか」などなど。


彼らは優しいので、激しい攻撃にはならなかったのですが、

私をはじめとする上司への不満もかなりありました。

耳が痛いことも多かったのですが、

彼らがどんな考えで仕事をしているのか、

ホンネの部分が非常に参考になりました。


正直、私は「飲みの場」を通じた

コミュニケーションというのが好きではありません。

そんなことをしている時間があったら

ジャズを聴きながら読書をしていたい、というタイプです。

しかし、夜中から明け方にかけての

独特な雰囲気の中でしか語られないこともあります。

たまにはこういう場を設けて、

職場の風通しを良くしないといけないな、と思いました。

ちなみに帰りのタクシーに乗ったのは朝の4時過ぎでした・・・・


夜中から明け方にかけての「盛り上がり」。

そんな環境で作られたジャズアルバムが、

ハンプトン・ホーズ(p)の「オールナイト・セッションVol.2」です。

タイトルの通り、夜を徹して明け方まで続けられた

スタジオ・セッションが非常に盛り上がり、

3枚のアルバムができてしまいました。

これはそのうちの1枚で、私の愛聴盤です。


このアルバムの魅力はホーズの

圧倒的なスイング感と、華やかさです。

スリルさえ感じさせるスピード。

ブルース感覚があるのに、泥臭くない。

ライブで聴いてみたかったなあと思わせる

素晴らしい演奏です。

ピアノ・トリオにジム・ホール(g)が参加していることも

味わいを深めています。


1956年11月11~12日、ロサンゼルスでの録音。


Hampton Hawes(p)

Jim Hall(g)

Red Mitchell(b)

Bruz Freeman(ds)


①I'll Remember April

「4月の思い出」という邦題があるスタンダード。

まず、冒頭のピアノ・ソロによるメロディが聴きもの。

切れ味が鋭いというのでしょうか、

ピアノの音に凛とした響きがあります。

それでいながら、冷たさはなく、

華やいだ雰囲気をもたらしてくれるのです。

そして、ピアノ・ソロの終盤でテンポが変わり、

リズム隊も加わって「本編」のメロディがスタート!

ここで一気にスピードがアップし、バンド全体が

生き生きとしながら演奏に突入します。

この転換が非常にスムーズで、

ぐいぐい引きつけられます。

ホーズのピアノ・ソロはとにかくノリがいい。

フレーズの一つ一つが見事に「つながり」、

どんどん迫ってきます。

ジム・ホールのソロも、ホーズに影響されたのか、

彼らしいシングル・トーンを生かしつつ、

かなりスインギーです。


②I Should Care

ホーズはバラッド表現にも優れたものを持っています。

この曲ではブルース・フィーリングを生かしつつ、

繊細な表現を行っています。

ソロで聴かれる、低音部を織り交ぜた印象的な

フレーズには、ゴスペルの影響もあるのかな?

と思ってしまいます。


③Woody'n You

こちらもホーズの真骨頂を示した演奏。

まずメロディが気持ち良い。

華やかさとミステリアスな風情を合わせたような

独特の解釈があります。

その後のピアノ・ソロも快調で、

ちょっとゴツゴツしたフレーズを入れつつ、

強烈にスイングします。

続くホールは、①よりは「受け止めた」演奏で、

落ち着いたソロを聴かせます。

間合いを生かした演奏はお手の物、

といった感じでしょうか。

レッド・ミッチェルの太い音が響く

ベース・ソロもなかなかのものです。


このセッション、「一夜漬け」であるのにもかかわらず、

完成度に驚きます。

アルバム3枚分、集中力を切らさないのですから

凄いですねえ。


私は二次会で少し眠りに落ちてしまったのですが、

もう少しがんばって「セッション」に参加しないと

若い人についていけませんね・・・