ランブリン/ジャック・ウィルソン | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

Ramblin'


突然ですが、引っ越すことになりました。

と言っても、1か月ぐらい先なのですが、

ちょっと落ち着きません。


私が現在住んでいるのは川崎市。

ここは会社が紹介してくれた転勤者用住宅で、

格安で借りることができました。

ところが、会社から「今年度いっぱいで出るように」

というお達しが・・・・。

会社は数年前、ある程度の年齢と役職に達した人に

転勤者用住宅を貸さない方針に切り替えており、

それに引っかかってしまったのです。

転勤族に対して経費削減の波がここまで・・・・。

世知辛いですねえ。


住宅の方は不動産屋めぐりをして、目途がつきました。

それでも、つい最近まで札幌に住んでいた身からすると

目が飛び出るような家賃です。

出費を削らなくてはならない。

そこで、削減の対象としたのが車です。

休みの日も働くことが多いし、ドライブも行かないので、

この機会に手放すことにしました。

私の車は中古で購入。

新車登録から今年で丸12年です。

そろそろ潮時かな、というのもありました。


日曜の夕方、某大手中古車買い取り業者の店に行きました。

お店の方、最初の対応は非常に丁寧。

走行距離がそれほどでもないのは好条件、

車の状態も悪くない、

などなどの説明がありました。

この店では、車の様子をチェックした後、

本部に情報を上げ、中古車オークションなどで

値がつくかを判断してもらうという仕組みをとっていました。

本部からの打ち返しがあり、私に示された結果は・・・・

「廃車にした方が良い」という衝撃のものでした!


まだ車検が1年残っていることもあり、

廃車にすれば各種の税金が返ってくる。

二束三文で手放すより、そっちの方がお得ですよ、

というのです。

そこから、お店の対応も急変。

廃車にして手放す判断をすぐに下せ、

と迫ってくるのです。

どうも車を引き取る作業を行う

別の業者への依頼など、

様々な事情があるようなのですが、

その高圧的な態度にちょっと反感をおぼえてしまいました。

結局、日曜は判断をせずに、そのまま帰りました。


店の対応はともかく、私は考え込んでしまいました。

確かに古い車ですが、エンジンは元気ですし、

トランスミッションも数年前に取り換えたので、

当面は十分走れるでしょう。

つまり、まだ「使用価値」はあるのです。

それだけのものが、中古車市場というところで

価値がつかないという理由だけで葬られようとしている。

これって、何かおかしいんじゃないでしょうか。

市場の冷徹さというか、ミスマッチというのか、

納得できないものを感じました。


ジャズの世界では、市場価値がなくなってしまったような

作品を掘り出し、もう一度世に問う「目利き」がいます。

フレッシュ・サウンド・レコードというレーベル。

スペインで1980年代後半に発足し、

地味なジャズ作品の再発に努めてきました。

このレーベルからでないと再び世に出なかったであろう

作品が数多くあるのですが、

ジャック・ウィルソン(p)の「ランブリン」もその一つです。

これがCDで出た時は驚きました。


ジャック・ウィルソンはブルー・ノートにも

リーダー作を残しているピアニスト。

地味ながらもキラリと光るセンスがあります。

オリジナルのライナーには

「アートとエンタテイメントのバランスが取れた時、

ジャズは最高のものとなる」

という指摘がありますが、

ウィルソンのプレイにはまさにこの言葉が

ぴったり当てはまります。

ただ、活動の拠点が西海岸だったことや、

基本的に「いぶし銀」の人なので、

大スターにはなれませんでした。

そんなピアニストを再び世に送り出した

スペインの会社、えらい!


1966年ロサンゼルスでの録音。


Jack Wilson(p)

Roy Ayers(vib)

Monk Montgomery(b)

Warner Barlow(ds)


②Stolen Moments

有名なオリバー・ネルソンの曲。

バイブとピアノが絶妙の役割分担をして、

真夜中にぴったりのメロディを静かに奏でます。

このアレンジが非常に優れており、

オリジナル(「ブルースの真実」収録)にも

勝るとも劣らない出来栄えです。

続くウィルソンのソロはメロディを受け、

知的で、ブルージーな響きが。

続くロイ・エアーズのバイブラフォンは

もっと熱く、力強いのですが、

曲の雰囲気は大切にしており、

その「締まり具合」が心地よい。

おすすめの一曲です。


⑤~⑦The Sandpiper,Pt.1~Pt.3

別名「The Shadow Of Your Smile」で知られる曲を

ウィルソンとエアーズがパート1から3という構成に分け、

それぞれ別のアレンジで料理しています。

ウィルソンのピアノは非常に淀みがなく、

それが彼を「地味」にしている一因なのでしょう。

しかし、⑥で聴かれるように、変化にとんだテンポを

「さらっと、美しく」こなすのは大変なことだと思います。

この名人芸にスペイン人も注目して再発したくなったのか?


フレッシュ・サウンド・レコードは、忘れられたような作品にも

どこかにファンがいて、必ず市場で受け入れられると考えて

再発しているのでしょうね。

私の車も必要としている方に届けたい気がするのですが、

自分でネット・オークションでもしなければいけないのでしょうか?