ちょっとした怖い体験をしました。
夜の帰り道でのことです。
駅から自宅までは徒歩で5分もかからないのですが、
その間に砂利道で、街灯もほとんどない暗い道があります。
私道らしく、夜は本当に真っ暗で、江戸川乱歩の小説に
出てきそうな道。
その道の入り口にさしかかると、
前を一人の女性が歩いていました。
私が進んでいくと、その女性がくるりと振り返り、
こちらに向かってきたのです。
違和感を感じつつも、
「何か忘れ物でもしたんだろうか?」と考え、
そのまますれ違いました。
と・・・・
後ろから女性の足音が近づいてきます。
「え?」と思って振り返ると、先ほどの女性が
ついてくるではありませんか!
なぜ引き返したばかりの人が戻ってくるのか・・・・・
ぞっとして足早に進むと、明るいところに出ることができました。
再び振り返ると、女性とはちょっと距離が。
訳が分からないまま、そのまま歩みを緩めず、退散しました。
すいません、どうってことのない話かもしれません。
最近はひったくりも多いですから、
女性は暗い夜道、後ろに男性がいるだけで気持ちが悪くなり、
位置取りを変えただけ、という推察もできます。
でも、暗い夜道で予想外の出来事が起こると、
それだけでも怖いということがよく分かりました。
こういうB級サスペンス的なことがあった後は、
音楽も都会の妖しさを感じさせるものがいいでしょう。
フランスのサックス奏者、バルネ・ウィランの
「ラ・ノート・ブルー」。
このアルバムは、バルネ自身がモデルとなった
コミックのために作られています。
ジャケットを見てもお分かりのように、
B級の臭いがプンプンするコミックで、
正直、手に取るのも気が引けました。
しかし、中身はまずまずで、
バルネのフランス人らしい色気と歌が表れた
作品となっています。
1986年11月~12月、フランスでの録音。
Barney Wilen(ts,ss)
Alain Jean-Marie(p)
Philippe Petit(g)
Ricardo Del Fra(b)
Sangoma Everett(ds)
④Round 'Bout Midnight
多くのミュージシャンが挑戦してきた超有名曲ですが、
バルネの解釈も魅力的です。
ピアノの短いイントロの後、生々しい息遣いと共に
バルネのテナーがメロディを奏でます。
この音色が、アメリカのミュージシャンと微妙に違う。
あまりゴツゴツせず、どこか優雅なのです。
やはりブルースの国とシャンソンの国の違いが
あるのでしょうか!?
太い音色でも、それが不思議と重くならない。
ほとんどメロディを忠実に吹いているだけですが、
存在感があるトラックです。
⑬Goodbye
これは見事なバラッド演奏。
サックスの音に心がこもり、深い。
都会の闇に沈んでいくかのような
感覚を覚えます。
ソロには地にどっしり足がついたかのような
安定感があります。
この「どっしり感」と「メロディックである」ことの
両立は難しいのですが、
あっさりやってしまっているように聴こえます。
全編バルネの演奏で押し切っていますが、
そうするだけの自信があったのでしょうね。
アルバム全体に色濃くある都会的なセンス。
妖しくも、決して毒にはならない。
「バルネはパリの匂いがあるミュージシャンなんだなあ」と
妙に納得してしまいます。
こんな音楽が、私の帰り道でも流れていれば、
もう少し緊張感も和らぐのでしょうが・・・・
