13日、関東で「春一番」が吹きました。
いま、このブログを書いているのは明けて14日の夜中ですが、
外でビュンビュン吹いている風が窓を揺らしています。
春に吹く風というのは、
強すぎて思わず顔をしかめてしまうこともあります。
しかし、まもなくやってくる明るい季節や節目
(新年度や新学期、新入社員などなど・・・)
も予感させ、何となく心を躍らせてくれる、
という面もあります。
そんな風を感じた後なので、
「スピードがあり、新しさを感じさせる」
ジャズを聴くことにしました。
オルガン奏者ラリー・ヤングの「ユニティ」です。
ラリー・ヤングは1940年生まれ。
最初はブルージーな典型的オルガン奏者だったのですが、
次第にモード奏法を取り入れた独自のスタイルを
身につけていきます。
その「新しい響き」を文字にするのはなかなか難しいのですが、
細かいアドリブよりも「音楽の流れ」を重視したスタイル、
と言ったらいいでしょうか。
この作品でも、ヤングのソロ・フレーズ一つ一つより、
現代的なスピード感と空間設計を楽しむのがいいのでは、
と思えます。
今でもどこかのクラブで流れていそうな斬新さ。
ヤングは後年、トニー・ウィリアムス(ds)らと
ロック的な音楽へ傾倒していきますが、
それも分かるような気がします。
「ユニティ」を成功に導いたのには、
共演者の存在も大きいと思います。
Larry Young(org)
Woody Shaw(tp)
Joe Henderson(ts)
Elvin Jones(ds)
新しい挑戦を恐れないミュージシャンばかり。
1965年の録音です。
①Zoltan
冒頭、エルビン・ジョーンズの乾いたドラムに
オルガンが作り出すベースラインが挿入されます。
その次に、二つのホーンが民族音楽調の(?)
不思議なメロディを奏で出します。
このちょっと掴みどころのない世界に抵抗なく入れたら、
もうヤングの世界に引き込まれたも同然。
ウディ・ショー(tp)やジョー・ヘンダーソン(ts)による
モードを完全に消化したソロが聴きものです。
しかし、本当の聴きものはヤングのフットベースによる
リズムかもしれません。
重たいリズムですが、なぜか乾いた味わいがあり、
エルビンの切れのいいドラムと相まって、
妙に新鮮な気分になります。
⑤Softly As In A Morning Sunrise
有名スタンダードですが、
他の誰の演奏とも違うテイストがあります。
それは、またもオルガンのフットベースが醸し出す、
スピードがあるようなないような、
変わったリズムのためです。
しかし、だからといって冷たい演奏ではありません。
ここはエルビンがバンドを煽りたて、
特にショウが熱い演奏を聴かせてくれます。
ヤング自身もエルビンに刺激され、
キーボードのような軽快で攻撃的なソロを展開します。
途中のオルガンとホーンの掛け合いもスリルがあります。
⑥Beyond All Limits
①とこの曲はウディ・ショウの作曲です。
彼の伝統に根ざしつつ、モード奏法も生かせる
独自の作曲センスに感心します。
このトラックはまさに「音の流れを楽しむ」ためのもの。
ヘンダーソンとショウが溢れる才能そのままに
フレーズを繰り出してきます。
ここではヤングのバッキングにも驚かされます。
右手の使い方が絶妙で、音を「足したり引いたり」することで
ソロをとっている奏者を盛りたてたり、
空間を作ったりと大活躍です。
通常のオルガン・ジャズとは全く違う切れの良さを
味わえます。
ヤングは録音時、まだ20代半ばだったんですね。
当時のジャズ界からすると、
「新入社員がすごいことをやっちゃった」
ような作品だったのではないかと推測します。
いつの時代でも若くして才能を開花させる人はいるんですね。
本格的な春を前に、「伸びゆく才能の勢い」を感じさせてくれた一枚でした。
今年は会社にすごい新人、入ってくるかな・・・。
