きょうは仕事で遅くなり、終電に近い電車で帰りました。
週末が見えてきたせいか(?)、電車は意外に込んでいて、
車内はお酒の匂いもちらほら。
少々窮屈な思いをしつつ、自宅近くの駅で下車すると、
気持のよい風が吹いていました。
空を見上げると、きれいな満月が。
そこで思い出したのが、本作に収録されている
「Samba Em Praia」です。
その理由は、正直、分りません。
アフリカの音楽に傾斜していた頃のナベサダと、
満月には全く関係がありませんし・・・・。
あえて関連付けるなら、月が呼び起した郷愁が、
この曲を懸命に聴いていた学生時代の「心地よい夜」を
思い出させたのでしょうか。
1977年にロサンゼルスで録音された本作。
ナベサダは西海岸の腕利きミュージシャンたちと組み、
明るく、アフリカ色の濃い音楽へ傾斜していました。
ここで聴かれるのは、もはや4ビートジャズではありませんが、
後にガチガチのアレンジで固められてしまう「フュージョン」でもない、
未完成の音楽です。
決まりきったルールに従うのではなく、
自分たちの新しい音楽を追及している喜びが全編にあふれています。
古くからのファンなら、FM番組のクロージングテーマになっていた
タイトル曲「My Dear Life」が忘れられないでしょう。
メンバーは以下の通り。
渡辺貞夫(as、sopranino、fl)
リー・リトナー(g)
デイブ・グルーシン(key)
チャック・レイニー(b)
ハーヴィー・メイスン(ds)
スティーブ・フォアマン(per)
福村博(tb)
改めて「Samba Em Praia」を聴いてみました。
フルートとピアノで始まる美しいメロディー。
リズムにはサンバが使われていますが、
明るさ一辺倒の音楽とは一線を画しています。
むしろ、この曲で一貫しているのは日本の夕暮れを思わせるような
ノスタルジックな雰囲気です。
これは渡辺貞夫にしか作り出せなかった、アフリカでもない、
ブラジルでもない、純日本でもない、
オリジナルな音楽ではないでしょうか。
彼が海外で高い評価を受けたのも、やはり「本物」だからだと思います。
ジャケットから夏のイメージが強い作品ですが、
深まる秋の夜に美しい「サンバ」を、ぜひ。
