アローン・イン・サンフランシスコ               /セロニアス・モンク | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

セロニアス・モンク


孤高のピアノ詩人が、珍しくご機嫌な状態で演奏した

ピアノ・ソロ。


ジャズファンならご存知の通り、

セロニアス・モンク(p)は相当な奇人だったようです。

音楽も個性的で、なぜここでこの音が出てくるのか・・・?

と、考えさせられてしまうこともしばしばです。

不協和音の一歩手前で音楽を保っている・・・・

そのバランスにファンは戸惑い、魅力を感じます。


ライナーノーツによると、この作品をレコーディングした時、

モンクは相当機嫌が良かったそうです。

プロデューサーにご馳走もしたとのこと、

サンフランシスコの気候が彼の心を軽くしたのでしょうか。

音に淀みがなく、1950年代に残した他の作品より

はるかに聴きやすくなっています。


今回、久しぶりにアルバム全体を聴き直してみました。

その中でのおススメ曲をご紹介しましょう。


②ルビー・マイ・ディア

モンクのオリジナルで、個人的に大好きな曲です。

最初に、ほんのちょっとだけイントロが入ります。

そこからメロディーに乗り移っていくところが絶妙です!

これほど美しいメロディーの前に、

付けられる音がほとんどないことは

モンク自身が一番よく知っていたはずです。

そこを難なく解決しているように聞こえるところが

天才の技だと思います。

実はこのトラックで彼は、ほとんどメロディーしか

弾いていません。

アドリブが少なく、メロディーを様々に解釈しながら

繰り返しているのです。

しかし、それでいいのです。

この曲は十分すぎるくらい美しいのですから。


⑧リメンバー

アービング・バーリンが作曲したスタンダード。

モンク流の解釈で曲は分解されていますが、

非常に音楽的で楽しめるトラックになっています。

やっぱり歌心があるのかなあ。

最後、スローにまとめる展開も見事です。


⑩リフレクションズ

何かとても懐かしい気分になってしまう一曲です。

このようにメロディーを訥々と弾かれると、

一つ一つの幸せな思い出がよみがえってきそうな、

不思議な力を持つ演奏です。


アルバム全体を聴き終えると、

「モンクって照れ屋なだけで、すごくいい人だったんじゃないか」

とも思えてくるのですが、いかがでしょう?