孤高のピアノ詩人が、珍しくご機嫌な状態で演奏した
ピアノ・ソロ。
ジャズファンならご存知の通り、
セロニアス・モンク(p)は相当な奇人だったようです。
音楽も個性的で、なぜここでこの音が出てくるのか・・・?
と、考えさせられてしまうこともしばしばです。
不協和音の一歩手前で音楽を保っている・・・・
そのバランスにファンは戸惑い、魅力を感じます。
ライナーノーツによると、この作品をレコーディングした時、
モンクは相当機嫌が良かったそうです。
プロデューサーにご馳走もしたとのこと、
サンフランシスコの気候が彼の心を軽くしたのでしょうか。
音に淀みがなく、1950年代に残した他の作品より
はるかに聴きやすくなっています。
今回、久しぶりにアルバム全体を聴き直してみました。
その中でのおススメ曲をご紹介しましょう。
②ルビー・マイ・ディア
モンクのオリジナルで、個人的に大好きな曲です。
最初に、ほんのちょっとだけイントロが入ります。
そこからメロディーに乗り移っていくところが絶妙です!
これほど美しいメロディーの前に、
付けられる音がほとんどないことは
モンク自身が一番よく知っていたはずです。
そこを難なく解決しているように聞こえるところが
天才の技だと思います。
実はこのトラックで彼は、ほとんどメロディーしか
弾いていません。
アドリブが少なく、メロディーを様々に解釈しながら
繰り返しているのです。
しかし、それでいいのです。
この曲は十分すぎるくらい美しいのですから。
⑧リメンバー
アービング・バーリンが作曲したスタンダード。
モンク流の解釈で曲は分解されていますが、
非常に音楽的で楽しめるトラックになっています。
やっぱり歌心があるのかなあ。
最後、スローにまとめる展開も見事です。
⑩リフレクションズ
何かとても懐かしい気分になってしまう一曲です。
このようにメロディーを訥々と弾かれると、
一つ一つの幸せな思い出がよみがえってきそうな、
不思議な力を持つ演奏です。
アルバム全体を聴き終えると、
「モンクって照れ屋なだけで、すごくいい人だったんじゃないか」
とも思えてくるのですが、いかがでしょう?
