ルーベンゾリの犬/バルネ・ウィラン | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

バルネ・ウィラン



いやはや、危ないアルバムです。

フランス人のサックス奏者にしか出せない音世界が

展開されています。


リーダーでサックスを吹いているバルネ・ウィランについて、

実は私はほとんど知りません。

分かっているのはフランス人であること、

1950年代から長いキャリアを誇っていること、ぐらいです。

この作品ではいつものテナー以外にソプラノ、アルトも吹いて

大活躍です。


ここでのバルネはいつになく吹っ切れているような感じです。

音全体が柔らかく、妙にさわやかなのです。

これがアメリカ人だと西海岸によく見られる軽い音になるのですが、

バルネの場合はなぜかフワフワしないで、根っこに「歌」があります。

この「歌」というのも、力の入り具合で時にクサくなるのですが、

彼はギリギリのところでおしゃれにまとめています。

冒頭の「危ない」というのは、そういう微妙なバランスを指しています。


いいトラックが多いのですが、個人的に好きなものを挙げていきます。


①ポート・オブ・スペイン・シャッフル

スペインの伝統音楽(?)をバルネがアレンジしたもの。

サスペンスドラマで出てきそうな夜の雰囲気を持った曲です。

かの地のリズムを取り入れ、もう少しで歌謡曲に

なってしまいそうなところをカッコよく吹き切っています。

最も「危ない」トラックかもしれません。


③バイ・ザ・レイク

ソプラノで美しく歌い上げた一曲。

最後は突然テンポが変わって焦らせますが、

やはり最後はカッコ良くきめる。

フランス人、恐るべし。


⑤リトル・ルー

ソニー・ロリンズ(ts)が作った曲。

テナーで男っぽく迫っていますが、やはり柔らかい。

ロリンズだったら、もっとパワーを感じる曲でしょうが、

こういうアプローチも魅力的です。


⑦ポインシアーナ

個人的におススメです。

アーマッド・ジャマル(p)の演奏で有名な曲。

バルネはミディアム・テンポのリズムに乗って、

迷うことなくフレーズを繰り出してきます。

その潔さがいい!

このアドリブ、終わらなければいいのになあ・・・・

そんなことを考えてしまうトラックです。


1988年の録音。

バルネ・ウィラン自身のオリジナル3曲は、

考えすぎているような感じでとっつきにくいのですが、

後は親しみやすく、レベルの高い演奏ばかりです。

典型的なピアノトリオに、パーカッションを加えたバックというのも

聴きやすい理由でしょう。

IDA RECORDという、聞きなれないレーベルから出ています。

見かけたら、ぜひ手にとってみて下さい。