13人を殺しながら逃げ続けて55年。
決着はまさかの自首だった。
犯人はすでに衰弱しており、死にかけ同然だった。
彼は反抗と逃亡の理由を嬉しそうに語った。
「高校3年の時、子供達が本気の鬼ごっこをしているのを公園で見た時、小学生の頃を思い出したんだ。
無我夢中で楽しんでいた頃の自分を。
ふと本気の鬼ごっこがしたいと思った。
自分の人生を全て賭けて。
捕まるまで終わらない、捕まったら死ぬゲーム。
私は鬼ごっこのために罪もない人を殺した。
ゲームのためならなんでもやった。
強盗・空き巣・詐欺・殺人…
何かを起こすたびに警察は私を捕まえようと必死になってくれた。
それが嬉しかった。
そして私はとうとう捕まらなかった。
とても楽しませてもらったよ。
だが、鬼ごっこは鬼が捕まらないと終わらない。
私の命もあとわずかだ。
だからゲームを終わらせに来た。
鬼が捕まったら鬼ごっこは終わってみんな自分の家に帰っていった。
私もようやく帰れる」
この4日後、彼は病死した。
その日は奇しくも彼が初めて殺人を犯した日だった。
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※この作品は2021年制作であり、フィクションです。