「先生、なんで先生は教頭に嫌われてるの?」
唐突な質問にルイジアナ先生は一瞬動きが止まった。
「面倒ばっか起こすから?」
自覚はあるのかと生徒達は思った。
「じゃあ先生は教頭が嫌い?」
なぜか教頭談義が始まった。
「嫌いじゃねぇ。でも、うぜぇ」
意外そうな生徒。
みんなてっきりルイジアナ先生は教頭を目の敵にしていると思っていたからだ。
一方、教頭は廊下を歩いていた。
すると、ルイジアナ先生の教室で自分の話題が上がっているではないか。
「馬鹿にでもしようもんなら突撃してやる」
そう思いながら壁に隠れて盗み聞いた。
ルイジアナ先生はこんなことを言っていた。
「教頭はな、お前達のことを考えてくれてるし、俺のことも一応考えてくれてるわけよ。
そりゃ、噛み合わねぇ時もある。
気にくわねぇ時だってある。
だからと言って嫌いになりゃしねぇ。
お互いお前達のために動いてるんだからな。
むしろ、俺がやらかした時に頭下げてくれる教頭には感謝してるぜ」
生徒はビックリしていた。
ルイジアナ先生がこんなことを考えていたとは全く想像していなかったからだ。
そして、教室の外で教頭は号泣していた。
あの天下一の不良、ルイジアナ先生が自分に感謝していると知り、悪人にも善の心はちゃんとあるんだと、それなのに自分はルイジアナ先生の悪い部分ばかりばかり見ては貶していたのかと、いろんな思いが込み上げて感動しているようだ。
「お前らは信じないかもしんねぇが、教頭にだってカッコいいとこあるんだぜ。まぁ、ハゲてるけど」
最後の一言で教頭の感動は台無しとなった。