トップアイドルと暗殺者 | 真逆的な、あまりに真逆的な

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変人作家になりきって頭おかしい系の作品を世に垂れ流してます

くだらない詩、つまらない小説、しょうもないエッセイ

読めば読むほど人生を無駄にする、物好きのための精神安定剤

毎日朝6時に更新してます

 

はじめはただの観察対象だった。

 

 

大手芸能事務所に所属するアイドルにつきまとうマスコミやストーカー、ネット上で過剰に誹謗中傷した者達の処分。

 

 

それが事務所に与えられた俺の仕事。

 

 

普通の社員の格好をしてオフィス内にいると、すれ違うことがある。

 

 

笑顔で挨拶をしてくる対象者。

 

 

この子は俺が何をしているか知らない。

 

 

しかし、俺は知っている。

 

 

一人残ってダンスに励む姿や誰もいない部屋で泣いている姿を。

 

 

俺はこの子の周りの害虫を掃除をするだけの人間だった。

 

 

この子にすら気づかれない警備の毎日。

 

 

そして害虫を見つけては排除して隠蔽。

 

 

消しても消しても湧いてくる奴等を平気で潰し続けられるのは感情がなかったからだ。

 

 

これまでの人生で何を見聞きしても心が動かなかった。

 

 

それなのに、この子の努力は俺の死んでいた心を蘇らせた。

 

 

小さな身体が背負う重圧。

 

 

健気さと弱さ。

 

 

ファンを喜ばせたいという想い。

 

 

すべてが俺の心に響いた。

 

 

この子はトップアイドルだと思った。

 

 

こんなろくでなしを変えたのだから。

 

 

人生の恩人だ。

 

 

感謝してもしきれない。

 

 

俺は一生をかけてこの子を守りたい。

 

 

仕事としてではなく、一人の人間としてこのアイドルを支えたい。

 

 

そう願ってから10年の歳月が過ぎた。

 

 

今も俺は彼女を守り続けている。