映画『アラジン』の主題曲「A Whole New World」はどちらかといえば好きになれない曲です。グラミー賞受賞の人気曲であることは承知していますが、積極的に聴きたいとは思えない…のですが
10月29日(金)NHK(東京)の番組
首都圏情報ネタドリ!
「絶望から生まれた“音” ピアニスト西川悟平のメッセージ」
での、悟平さんの弾く「A Whole New World」は心に響きました。
それは中学生に向けた講演での演奏映像でしたが、必ずしも良好とはいえない録音状態であるにもかかわらず、伝わるものがある。
どうしてそうなのか
改めて考えると不思議です。
番組の最後はパラリンピック閉会式の再演です。
What a Wonnderful World ソロヴァージョン
ジストニアという難病にかかり、その絶望の淵から、かろうじて動く7本の指で演奏するピアニストとして復活した西川さんの半生自体、感動的です。
「サワコの朝」以来、たびたび伺ってきたエピソードの数々。
そのストーリーを知っているから、一層心に届いてくるのか。
あるいは、悟平さんが長きにわたる苦闘から見出した「自分の音」の深さが聴く者の心を揺さぶるのか。
勿論、技術的なものも含めて悟平さんの心が演奏に表れているからこそ伝わるのですが、そこに働く共感・共有のパワーは音楽という芸術が持つ至高の価値といえるでしょう。それは個人の好き嫌いを超越した力です。
西川さんはジストニアでピアノが弾けなくなったことはギフト(贈り物)だといいます。不自由であるがゆえに自分の音を見つけることができた。
演奏家にとって一番大事なことに気付けたのです。
今後今までにも増して世界中からオファーが舞い込んでくるでしょう。
どうぞ健康に十分留意して、悟平さんのアイデンティティと音楽の魅力をすべて引き出して聴衆に伝える演奏家としての使命を貫いてください。
ショパンコンクールを楽しみました。ショパンの作品の偉大さ・芸術性の高さをつくづく再認識するとともに、一流の演奏家を目指して挑戦する若者たちの清新な姿を堪能しました。
ショパンコンクールのファイナリストたちの世界ツアーがはじまるようです。
演奏家の使命は神聖かつ過酷です。
心に届く音楽を大いに期待しています。