ネットを見ていたら、何人かの方の指摘で今回の『寿歌』にポリスの「ロクサーヌ」が使われていることを知りました。ほんと?と調べてみると、ミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』の「ロクサーヌのタンゴ(El Tango De Roxanne)」のオケ・アレンジ版のようです。You Tubeで映画のその場面を見ましたが、男の女への暗く切ない情念が表現された強烈で暴力的といってもいいようなダンスシーンです。娼婦に惚れてしまった男の独白である原曲が巧みに織り込まれた音楽も秀逸です。


私が初めて「ロクサーヌ」を聴いたのは、実はスティングの演奏でです。あの9.11の日、彼のイタリアの別荘で行われたというコンサートの録画で見ました。(家族中でスティングのファンになったライブです。)ジャズ風のアレンジを交えた大変洒落た曲で、つい最近までそれがオリジナルだと思っていました。


You Tubeで探ると、出てくるわ出てくるわ、


まず最初に長居したのは、髙橋大輔のフィギュアスケートです。2006年2007年のシーズンのエキシビションに「ロクサーヌのタンゴ」が使われました。これまた映画に劣らないずば抜けたパフォーマンスで感動の滑りでした。


その後(だと思うのですが)ほかの選手もショートプログラムなどで使ったようです。


そして、この2012年1月15日、やはりエキシビションで髙橋選手は再びこの曲を取り上げました。その映像も素晴らしいものです。大人の滑りといっていいでしょうか。きれいで伸びやかでした。これはもう芸術の域です。


次にウロウロしたのはポリスの「ロクサーヌ」。これがレゲエ調で、シャウトとまではいかないけれど高い声での呼びかけからはじまる、詩の内容の割には軽い調子で、後半のリフレインはシンプルで単調です。改めて聴いたイタリアでのライブと比べると、当然ですが若い表現でほろ苦さや悲哀めいたものはあまり感じません。


次に見つけたのはベルリンでのスティングとオーケストラの協演のライブ。オクターブ低いところから静かにはじまるバラードです。しみじみしていて実によかった。これが 一番気に入りました。それにしてもスティングはとても素晴らしい。


実は、『寿歌』でなぜ「ロクサーヌ」を使ったのか答えを求めて旅に出たのですが、この通り寄り道ばかり。でも、発見や味わい深い経験がたくさんできた寄り道でした。


これこれ、こんな旅がしたかったんだ、とslow-ninは喜んでおります。


旅はまだまだ続きます。


ちなみに29日(日)は3度目の『寿歌』です。