バロック音楽に最適なパイプオルガンを間近に眺めてきました。ブレーメンのマルテイーニ教会のもので、北ドイツで最も優れたバッハ・オルガンの一つとされています。

この教会では、1563年に最初のオルガンが作られました。本体のパイプを守る箱が、金銀の色で華やか、また手の込んだ木彫りの彫刻といった、全体の装飾がお見事です。教会の中に、天空のお城があるようです。

 

1603年、オランダ出身のオルガン制作者に改修を依頼されました。1616年にリューネブルグ出身のオルガン制作のマイスターであるクリスチャンボッケルマンがオルガンを拡張改修し、現在も残っているオルガンの箱はこの当時に制作されたものと言われています。

1707年には、ハンブルグの有名なオルガン製造者シュニットガーがここのオルガンを再構築したそうです。

ただし、本体のオルガンオリジナルは戦争で金属部分が軍事器の材料となるということで、1944年には完全に壊された経緯があります。なお、箱と呼ばれるケースは戦争の前に移設されていたため、幸運にも戦火を免れました。

そして、1962年、教会の再建後、ニーダーザクセン州Leer出身のオルガン製作者ユルゲン・アーレントが、昔の建造方式をモデルとして3段鍵盤、ペダル、33のレジスターを備えた新しいパイプオルガン楽器を制作しました。アーレント家の子孫は、現在も欧州のオルガン工房の巨匠として代々職人として働いているそうです。日本でも東京の教会や、大富豪の軽井沢の別荘にもアーレントオルガンが残っているそうです。工房には、きっと当時の製図なども家宝として残っているのではないでしょうか。

 

 

マルティーニ教会のパイプオルガンは、古い建築様式を採用した現代のオルガンの最初の例の一つとして知られており、17世紀と18世紀の音響理想に近づけたものだそうです。

2005年の改修工事では、バッハ/ケルナー調律が施され、現在では北ドイツで最も優れたバッハ・オルガンの一つとされ、世界のオルガン奏者の憧れとされているそうです。韓国やニューヨークからも、名奏者と呼ばれるプロの古典音楽のオルガン奏者が「弾いてみたい」とやってくるとか。

オルガンの動脈パイプを見せてもらいました。2200本以上組み立てられています。小指ほどのパイプから、長さ4mを超えるものも並んでいます。ハンブルグの教会には10mの長さのパイプもあるようです。

「うわぁ、たくさんあるわぁ」と驚きましたが、マルティニのオルガンは中規模だそうで、ブレーメンのドーム教会ではなんと倍の「5千本」あるそうです。

 

 

オルガンは、リコーダーみたいにパイプに風を送って、響かせながら独特の音色を出すのです。

 

木組みの枠、古い鍵盤、30個もあるストップ、踏みこなされたペダル、すべてが工芸品としても見る価値あり、きれいだわ。

 

そして楽譜を見ると、1680年にマルティーニ教会で作られた讃美歌が置かれていました。

「Lobe den Herren, den mächtigen König der Ehren ほめたたえよ、力強き主よ。」ブレーメン生まれの神学者ヨアヒムネアンダーが故郷ブレーメンでマルテイーニ教会の牧師となった際に作詞したもので、 今では世界のキリスト教会でも重要な賛美歌の一つと歌い継がれているとのことです。 

 

 

 

 

なんとオルガンを弾いてもよいと許可をもらいました。「えっ、ド素人の私が?」と思わぬ提案にビビりましたが、こんな機会はまたとないと思い、恐る恐る弾かせてもらいました。

今練習中の名曲「戦場のメリークリスマス」をちょっとだけ演奏しました。曲にぴったりのストップを7つ開けてもらいました。当たり前ですが、神聖な音色で、私の「戦メリ」さえ、格調高く響かせることが出来ました。歴史ある本物の楽器だからこそ、神様の力が宿っているのです。私の頭の上から音色が降り注ぎ、温かいパワーを与えてくれました。天国の坂本教授も、微笑ましく聞いてくれたのではないでしょうか。

 

 

 

豪華な装飾が施されているケースです。厳かに光り輝いて、伝統と新しい息吹を感じられます。

マルテイーニ教会は、市内の観光地のプロムナーデ「シュラハテ地区」にあります。是非、お祈りの際にこのパイプオルガンにもご注目いただけますように。