2024年1月8日月曜日、午前中、ブレーメン市北西部はとても賑やかでした。

2千台のトラクターが幹線道路に集結しました。

「農家は社会的につぶされる。農産物の輸入を減らせ!」というメッセ―ジを掲げていたトラクターが走っていました。

農家の人たちが大規模デモンストレーションで訴えているのは「ドイツ政府が計画している農業補助金の削減反対」ということです。

トラクターは農業用ディーゼル燃料を注入して、運転されます。環境保全を重視し、農家にディーゼル燃料の大幅な減少を求めるドイツ政府です。

 

しかし、農家も厳しい経営状態に追い込まれているため、簡単にディーゼル車から電動で運転するE-トラクターに移行するのは簡単ではありません。

気候変動に配慮した農業への転換を実行するためには時間がかかります。それを農家への補助金削減というゆっくり首を絞めるような脅しの政策で、電気化を促すのはいかがなものかと思います。

 

大名行列のように並ぶトラクターの姿に、幼児たちは大喜びではありましたが、農家の出身である私としては、農業従事者の気持ちがわかるため、複雑な気持ちで見てしまいました。農家の毎年の収穫量は気候に左右されますし、週休二日なんて繁忙期が終わるまで無理です。安心安全を心がけて生産した米・野菜・果物は、海外産の農薬をどっぷり使った安いものに叩かれて、売り値はコストから2割程度の利幅がつけば御の字なのです。全く農業って儲からない衰退を余儀なくされている仕事です。だからこそ、政府に自国の農業を守ってもらいたいのに、補助を減らすなんて、あってはならないことです。

 

そんなことを想いながら、珍しいデモンストレーションを手を叩いて眺めることはできませんでした。