ハンブルグの造船所で作られ、1943年に完成したドイツ産の潜水艦U995は、世界大戦の際にドイツの海軍といった軍用機として使われ、9回も敵地に出向き闘ってきた戦闘機だそうです。戦後はノルウェー海軍の訓練船として働き、1972年にドイツキール湾のラボーエの沿岸に到着したという歴史を持っています。陸にあげて設置するだけで当時1億円の経費がかかったというから驚きです。

長さ67,2mがありますが、幅はわずか6mと驚くほど狭い。

 

中に潜入すると、その無機質な作りと圧迫感にたじろぎます。こんな息苦しい艦内で、戦争という緊張感もあり、過酷な生活を余儀なくされるんですね。ロックダウン、隔離生活、コロナ感染という言葉がない時代でも、それと同じような息詰まる現実を生きなければならない船員がいたなんて。

 

こんな小さい台所で、乗組員50人の食事を準備しなければなりません。

 

 

モールス信号の通信室です。当時のままです。戦争映画のワンシーンを思わせます。

 

船員の寝床です。緑色のは、折り畳みのテーブルです。足を思いっきり伸ばすことができない、これじゃゆっくり眠ることもできませんね。熟睡できない、運動もできない、新鮮な空気も吸えない、太陽が拝めない、間違いなくメンタルがやられてしまいます。

 

  

トイレも刑務所のような暗い雰囲気です。

 

潜水艦と隣接する海軍記念碑を合わせての年間の来場者は3万人を超えるそうです。人気の観光地となっています。家族券大人二人子ども二~四人入場は30ユーロとお得です。サブマリンの歴史と技術の博物館として、潜水艦は兵士たちの過酷な生活環境を描き出し、今の世代に第二次世界大戦の恐怖と苦しみを思い起こさせます。

 

 

 

穏やかなキール湾です。静かでとてもきれいな浜辺でした。

  

ただ、潜水艦や海軍の慰霊碑を見たからか、ここから2千キロ離れたウクライナでは、戦争が行われていると、しょんぼり考えてしまいました。

私たちは、この平和は当たり前と思っていますが、実はそうではないのかもしれませんね。