公正取引委員会から下請法に抵触するとして勧告されるケースが今も続いています。
勧告を見ていると「適正な取引と不適正な取引」を十分理解していないケースが多いようです。
物流に関する事例もここ1年でも数件見られます。
昨日は、製造委託業者への下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する事実が認められたとして勧告されたケースが公表されました。http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.february/10020202.pdf
違反事実の概要として下記の文章が記されています。(原文引用)
ア 自社の利益を確保するため,下請事業者に対し,「仕入割戻金」と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者に対し,平成20年2月から平成21年5月までの間下請代金の額に一定率を乗じて得た額を
イ 自社の発注業務の効率化を図るために導入した電子受発注システムの運用費用を確保するため,下請事業者に対し,「EOS情報処理料」と称して一定額及び仕入伝票の記載行数に一定額を乗じて得た額を負担すよよう要請し,この要請に応じた下請事業者に対し,平成20年2月から平成21年5月までの
間,一定額及び仕入伝票の記載行数に一定額を乗じて得た額を
ウ 自社の物流センターに納入された商品を自社の店舗別に自ら仕分けるためのシールに係る費用を確保するため,下請事業者に対し,「ピッキングシール代」と称してシールの使用枚数に一定額を乗じて得た額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者に対し,平成20年2月から平成21年7月までの間,シールの使用枚数に一定額を乗じて得た額を
それぞれ差し引くことにより,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。
(以上、引用)
要は製造委託とは直接関係ない内容についての協力要請です。本来、製造は製造としての取引条件があります。下請け側は依頼者から言われたことを受けざるを得ない弱い立場にあります。
自社のコストを抑える意味での要請が下請法に抵触することを理解していないというのが今も続く理由としてあげられるでしょう。
企業活動の中で法の精神やコンプライアンス教育を行うことが常に求められています。見落としてはならないものでしょう。
今日のキーワード
”法を横に置いておくことはできない”