農業参入と企業姿勢 | 「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

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 「社会とともに歩む」。こんな社会評価を受ける企業姿勢が売上げや利益といったものと同等に世間の目になるかもしれません。


 昨日のブログで書いた「商社の農業事業への参入」もこのあたりを含んだ内容でプレスリリースされています。
 
http://www.toyota-tsusho.com/press/20080808_1.cfm


 豊田通商の連結子会社、豊通食糧が宮城県栗原市で地元農家と共同でパプリカを生産する農業生産法人「株式会社 ベジ・ドリーム栗原」を設立したことを発表しました。


 事業動機1

 農林水産省が発表した「食糧自給率向上のための集中重点事項の取り組みについて」(平成19年9月発表)での「野菜の生産拡大」が挙げられていること。

 事業動機2
 最初の生産作物「パプリカ」が企業が担うに足る条件にかなう。
 ①温度・湿度・溶液濃度の栽培環境コントロールなどに工業的投資が必用であり、同社の事業ノウハウが生かしやすい。
 ②パプリカの国内市場は2万5000㌧、栽培には多大な初期投資と栽培技術が必用な一方で国内生産がわずかで無用な競合がなく自給率向上に寄与できる。
 ③宮城県の気候と自治体としての地産化を進める要望に合致している。

 プレスリリースの中で拾った参入動機はこんなものです。


 政府方針や自治体の要望にかなうものとなっているところが、従来からの企業と行政のもちつもたれつ関係というようなものもあります。しかし、企業としてはそれらの方針に合致することと商売上の勝算を計算しつくすことで初めて決断します。そして決断すればいち早くというのも鉄則です。


 また、国内で他の事業者との競争で圧迫することのないような分野を選ぶのがポイントともなっているようです。


 このことから企業が農業分野に参入する条件として次のようなことが上げられるのでないでしょうか。

 参入条件
 ①中小零細農業との競合は避ける
 ②自給率の低い作物で相場も高いものであればなお可
 ③自然、社会配慮を行う


 プレスリーリースのまとめの項が動機と条件を言い表してもいます。
「今後は、国産のより安心・安全な食品を確保することを目指し、改めて日本を重点投資
地域として捉えております。他の作物についても技術力のある国内の生産者と提携し、付
加価値の高い商品の生産・確保を目指し、将来的には年間100億円の野菜・果実生産を
目指しております。」


 環境に優しい材料を使っているので消費者側に貢献していると思っていたのに源流側では森林をどんどん浸食していたというような事例もあります。目的をしっかりと持ち生産から消費までの循環をコントロールするそんな存在であれば参入は許されるでしょう。


今日のキーワード
”これからは社会評価が重要になる”