自然を壊すのは簡単であるが再生させるのは大変な労力と知恵が必要です。六甲山の山肌は比較的もろいとされる花崗岩、諸所で崖崩れ跡が見られます。この土地に手を加え災害とたたかった場所も多く学べます。
兵庫県宝塚市に武庫川へそそぐ支流、逆瀬川という川があります。この川は水が流れるというより土砂が流れるのを防ぐといった方があたっている川です。
明治初期の逆瀬川一帯は砂漠化し一面荒れ地状態であったことが当時の写真で読み取れます。山の斜面の砂防工事、そして植林を行ったものが現在の緑になっています。
明治初期
一方、流出した土砂が流れるのが川です。ここも河原というより土砂で埋まった荒れ野という状態であったようです。
ここに水が流れる流路をつけ、その各所に土砂が下流に流れるのを防ぐ堰堤が築かれました。この堰堤工法が時代とともに改良されてきたようです。この工法こそが人の知恵というものでしょう。上流から下流までの間に「自然石積堰堤」「谷石積堰堤」「鎧積堰堤」という堰堤工法と流路には玉石積工法が工夫されています。
近年、自然を破壊する大規模ダム工事などが無駄の象徴として語られますが、日本には自然を取り戻すいろいろな知恵も蓄えられてきました。自然を活かす、生き返らせる、そして共生する、あるいはもっと大きく蘇生させる、そんな知恵こそ文明の力として活用したいものです。
現在の逆瀬川では緑も復活し流域では蛍や赤とんぼなどが見られ、大事な自然共有空間となっています。
今日のキーワード
“知恵はどう使うかで評価が変わる”





