アクティビティを言葉にする | 「ロジスティクス・物流・マネジメント日々雑感」篠原ロジスティクスオフィス 篠原和豊

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 的確に言葉で表現してみるのは結構、難しいことです。

 作業アクティビティ(活動)を記述してみましょう。荷受け場でのものです。

 表現を「荷物を受け入れる」とします。確かに荷物は「荷物」です。受け入れるのは「受け入れる」です。しかし、こう表現されたアクティビティを見ると少しずつ違った光景を目にするでしょう。

 「荷物」にもいろいろあります。大きなケースに入った荷物、粉体になった荷物、つかみどころのないふわふわした荷物など形状や重さ大きさなどまちまちです。荷物がどんな単位で扱われているのかもいろいろあります。コンテナご単位でとかパレットに乗ったもの、ケースがばら積みされているものなどこれもまちまちです。

 「受け入れる」も方法、道具などいろいろなことがあるのに気づきます。手で一つ一つをおろしていくのもあればパレットごとおろすのもあります。一発でコンテナをおろすのもあります。

 人の動作に注目してみると「歩く」「取る」「置く」など少し分解された行為があることがわかります。さらに見てみると「手を伸ばす」「掴む」「引き寄せる」などと細かく見ることができます。

 そもそもアクティビティの「的確な表現」とは何でしょうか?使用目的によって異なるはずです。

 物流ABC(活動基準原価計算)においてはコストを発生させているメカニズムを表すことになります。コストは作業をどんな場所でどんな道具や機械を用いてどんな人がどれくらいの時間をかけてやっているのかが大きな要因となっているのが分かると思います。

 この意味で類似したアクティビティでもコストが異なってくると思われるものは別々に記述した方がいいでしょう。

 「入荷作業(コンテナ)」「入荷作業(パレット)」「入荷作業(バラ)」などです。そして、しっかりとこの分類されたアクティビティを定義しておきます。「フォークでコンテナをおろし保管位置に運ぶ」「荷台からフォークでパレット単位でおろし検品場所に運ぶ」「荷台からケースを手作業でおろしパレットに積む」などです。

 同じような「荷物を受け入れる」でもいろいろ異なることが分かるでしょう。そして時間も、関わっている人も異なることがわかるのでないでしょうか。表現によって伝えようと思うことが間違って伝わるのは常にあることです。気をつけておきたいことのひとつです。

今日のキーワード

“表現は伝えたいことを的確な言葉で表す”