事務部門のコスト削減策としてよくあるのが総務部門から提案される“筆記用具”の保持、発注基準ルールがあります。
第一番目に「シャープペンシル1本、ボールペン(黒)1本、ボールペン(赤)1本、蛍光ペン(赤、青、黄)各1本・・・・・これ以上に持っていればすべて総務課で保管しますから出してください」と通達されます。
第二番目に「筆記用具の補充をする時は現在のものを持参してください。それと引き換えに交換品をお渡しします。」というルールで補充交換がされます。
第三番目に「紛失した場合は理由書をつけ申請してください」と不規則規定も作られます。
第四番目にこのルールに切り替えたことで「○月度の筆記用具の購入費用が××円だったのが先月は△△円になりました」と報告され、以後も継続して報告されます。
効果は最後の経済効果だけでしょうか?この経済効果はそう大きくないと思われます。もう少し大きな効果があることを忘れてはいけません。
シャープペンシル1本、ボールペン1本でも何も困らないことを一人ひとりが感じることの大きさがあります。2本あっても1本は遊んでいるのですから。2本以上あれば「必要最小限単位1本」以外には目が届かないか関心がないかで紛失してもそうどこへ行ったか、なぜ紛失したのか追及しないでしょう。紛失した場合は理由書が必要ですから自身の管理内容が問われます。自分のワークスタイルのたな卸しをすることになります。
引き出しの中がスッキリします。ごろごろ転がっていた筆記用具の数が少なくなることでのスペース効果が一つ、それぞれ1本ですから置き場所も決めるのでないでしょうか。(定置法を取り決め周知徹底することも必要かわかりませんが)それでいつもたな卸し確認が簡単に行えます。行方不明になってもないことがすぐに分かりますから。
* 定置法:シャープペンシルはここ、消しゴムはここと決まった場所に置くこと。生産現場の工具や治具については広くさいようされている方法です。)
最初に1の単位以上に持っていたものは総務部にすべて集められます。これはみんなに分かるように見える形で種類ごとに並べておきます。ムダの塊がよく分かります。そしてその中の一つ一つを点検しておきます。多分、長い間放置されていたボールペンはインクが固まり使用不能になっているものもあるはずです。それをはっきりと明示しておきます。余分に持っていたことのムダが目に見えます。
このルールを続けていればシャープペンシルやボールペンは芯や軸だけ変えればいいということで補充も行われるでしょう。
小さな筆記用具の運動からいろいろ学ぶことが出来るはずです。生産現場に比べ事務部門はムダの意識は高くないはずです。全社意識を高めるには「最小単位は1から」をこんなところから始め、さらに高いムダとりに結び付けていくこともできるのでないでしょうか。
今日のキーワード
“1という単位で考えるは原点に立つこと”