旧統一教会が信者の寄付、献金に対して「返却、賠償を一切求めない」という念書の存在を理由に返却申請に応じないとしてきたことに対して一審、二審とも念書の有効性を認めて返却の必要はないとしてきましたが最高裁では念書は無効であるという判断をして差戻を指示しました。
差戻理由が「献金者が認知症である」という理由ではなく「公序良俗に反する契約である」ということとしたことは画期的であると思います。一審、二審とも念書が適法であり返却請求は無効であるとしてきたことを根本的に否定したことは正に庶民感覚に近いものであり多くの国民、被害者も納得したと感じています。
旧統一教会は政府与党と親和性が強く協力関係を長く続けてきたことから司法が忖度したのではないかと感じていたので最高裁は独立性を明確にしたと思います。反社会的勢力は当事者に対して念書を書かせることがありますが本件も同様に公序良俗に反する念書、契約であることを認めたこととなります。
日本は判例法の考え方を基本としていますので同様の請求を起こしている他の案件も公序良俗に反する念書という判断が確定していくことは多くの被害者には救いになると思います。
ギリギリのところで最高裁が今回の判断を示したことは正義がなされたと感じました。
寄付、献金という行為は善意に基づくものであり脅迫、洗脳等による行為は取り消すことができるのが通常です。高額な寄付、献金に対して「返金を求めない」という念書を書かせる行為そのものが常識的にあり得ないものであり公序良俗に反することであると考えています。
一日も早く被害者救済がなされることを祈っています。