物価高が家計を直撃していますね。企業にとっても仕入れ価格、流通価格等が影響しており安易に値上げできない状況が続いています。
高齢者住宅管理についても影響が大きくなっています。コロナ感染対策費用が負担になっており苦しい状況にあります。
高齢者住宅管理において収益は賃貸住宅の管理に関する収益とソフトサービス提供による収益に大分することができます。ソフトサービスについては介護保険等は公定価格であり独自の価格設定はできない構造になっています。そのため「過剰サービス」という問題にもなっているのかなと感じています。
一方で賃貸管理事業における収益は主に賃料になります。物価高の影響もあって賃料を値上げして収益改善を図る例が散見されます。ただ賃貸住宅における賃貸借契約では一般の貸借契約と異なり借地借家法が適用になるため注意が必要です。借地借家法では契約当事者対等という民法の規定ではなく借家人保護という原則があることに注意しないといけないですね。
物価高により収支が悪化したので収益としての賃料を上げることには特段の配慮が必要といえます。特に「サービス付き高齢者向け住宅」においては高齢者の安定居住を目的とした制度であり「建設費補助」「優遇税制の適用」といった供給促進を目的とした制度住宅であることを自覚しなくてはならないと思います。
物価高は入居している高齢者の皆様にも影響を与えています。また高齢者の収入の大部分を占める年金収入については下がっています。つまり高齢者の皆様にはダブルパンチになっている現状を正しく理解することが大切です。賃料を値上げしたために退去せざるを得なくなったのではサ高住の目的である安定居住の確保にも悖るものとなってしまいます。
高齢者住宅における賃貸借契約の本質を正しく理解して適法適正な管理運営によって賃料を決めていただきたいですね。
次回は賃貸住宅の賃料改定について定めている借地借家法第32条について高齢者住宅としての考え方について述べたいと思います。