夏到来ですね。
さて、懲りずに新聞記事のアラ探しをしても良いですか?
今回は日経新聞です。
日本経済新聞社さま。御社の新聞は、朝目覚めて真っ先に
目を通しますし、各種新聞の中で最も多くの時間を割いて
精読しています。
私の所属する業界においては、リタイア後に日経新聞を
読まなくなる人も多いのですが、そういった人の方が
ボケるのが早くなるという都市伝説があるので、
退職後も変わらず愛顧することをお誓い申し上げます。
趣味の世界の指摘ですので、大目に見てくださいね。
さて、問題の記事は7月10日の日経新聞4面にあります。
タイトルは「外国人宿泊客27%増」。先日発表に
なった「宿泊旅行統計」をベースとした記事です。
問題があると思われる部分を2点指摘いたします。
まず「2013年に国内のホテルや旅館に泊まった外国人
訪日客は延べ3,351万人泊となり(中略)、07年に
調査を始めてから最も多く…」です。
一見したところ、問題はなさそうですよね。
でも、この統計を少しでもかじったことのある人で
あれば、「2010年に調査方法が変更となっているため、
その前後で単純比較はできない」ことは常識です。
過去最多となったことは疑いようもありませんが、
少なくともこの点に言及する必要があるでしょう。
もう一点は、
「13年は訪日客が前年より24%多い1,036万人に
増えたのに加え、訪日客1人当たりの平均宿泊数も
12年の3.15泊から3.23泊へ2.6%伸びた」です。
まず、「1人当たりの平均宿泊数」というのは、
「宿泊旅行統計」には掲載されていない、
記者さんが作り出した独自のデータです。
そしてこの平均宿泊日数というのは、
「外国人延べ宿泊数÷訪日外国人客数」で
計算している訳ですが、分母はJNTOの「訪日外客数」、
分子は「宿泊旅行統計」と異なる統計を用いています。
独自の指標を掲載するのであれば、計算式を書く、
あるいは出所を述べた上で「単純計算では」などの
言及が必要でしょう。
さらに言えば、この計算式にも違和感があります。
すなわち、「宿泊旅行統計」はサンプル調査であり、
分子の外国人延べ宿泊数は、やや正確性を欠きます。
また、分母の訪日外国人客数は悉皆調査なので
精度は極めて高いですが、全員がホテルや旅館に
泊まったとは限らない(*)ため、
この計算式で用いるのは正確でないと言えます。
*日帰り、車中泊、野宿、友人・知人宅泊など
※「訪日客1人当たりの平均旅館・ホテル宿泊数」で
あれば許容範囲内かな。算出する意味は乏しいですけど。
そして、「3.15泊から3.23泊へ2.6%伸びた」の部分も
いかがなものでしょうか?
何が言いたいかと申しますと、上述のとおり、
ここでいう「平均宿泊数」は分母・分子ともに
ワケありの数値を用いているため、2.6%(0.08泊)の
増加というのは誤差の範囲内であり、「伸びた」という
判断を下すのはやや乱暴ではないでしょうか。
記者さんが作り出したオリジナルデータであるなら
なおさらですよ。
もちろん、紙幅が限られる中で、いかに多くの有用な
情報を盛り込むかというのは、記者さんの腕の
見せ所だとは思いますが、最低限のポイントは
押さえておく必要があると思います。
吽。

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