創作◆あなたと始める物語は。15★《ダーリンは芸能人》二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

二次元のカレに逃避中♪

主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
※他サイトにて夢小説展開中

注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




 あなたと始める物語は。15

〜 next stage ~

《ダーリンは芸能人》二次創作






朝食の後片付けをし、天気予報アプリで雨や雪が降らないことを確認して洗濯物をベランダに干して部屋を出た。

行き先は、半年前から勤務する〈フローリストKM〉だ。

前の職場を逐われるように辞めて行き先がなくなった私に住居と仕事を与えてくれたのはここのオーナーたちだった。


「おはようございます」

「おはよう。
 これ、今朝の納品伝票と昨日の売上伝票、それから今日の注文一覧ね」

「はい」

「愛優香さんの事務仕事、正確で早いから本当に助かるわ」

「いえいえ。 花屋さんに勤めているのにアレンジ組めないんですもの、これくらい」

「あはは、未だに思い出すわー」

「…圭子さん、ほんっと、もう忘れてください…」


私は赤面してオーナーに懇願する。

実は勤め始めたときにアレンジを組む練習をしたのだけれど、独特な雰囲気のものが大量に出来てしまい。

花が好きなのと仕事にするのとでは全く異なるものだと知った瞬間だった。


「ごめんごめん。
 でもいい線いってたとは思うわよー。 数をこなせば何とかなるんじゃないかな」

「たぶん、私には美的センスというものがないのではないかと」

「そうかなぁ?」

「基本的に事務系の仕事の方が合ってると自分でも思いますしね」

「そういえば、不動産関係の勉強も始めたんだって?」

「はい。 識ってるのと識らないのとでは仕事に差が出るのではないかと思って」

「そっか。
 ま、愛優香さんが来てくれてウチも向こうも助かってるのは確かだけど。 でも無理はしないでね」

「はーい」


寮母としてのお仕事の他にオーナーのご主人が経営する不動産会社でのお仕事もしているが、これについてはオーナーの口利きだ。

どの仕事も突発的なものや急いでこなさなければならないものの他は自分でタスク管理をし、それを報告すればいいのでとてもありがたかった。

今のところどれも正社員ではないけれど福利厚生関係はきっちりしてくれているから本当に恵まれていると思う。


「さて。
 先に生山田スタジオへの納品、行きましょうか」

「あー、…はい」


アレンジメントそのものは出来ないけれど人手が足りないときはお手伝い要員として付いていくこともある。

ただ、今回行く収録スタジオは私の前の職場とも絡みがあって、知ってる人に会うかもしれないと思うと実はちょっと憂うつだ。

撮影現場で使う大量の花をワゴン車に載せてオーナーと一緒にスタジオへと向かう。

お店を出て走ること30数分、目的地に到着した。

駐車場の搬入車輌用スペースに車を停め、台車にアレンジメントや花が入ったダンボールを幾つも載せて建物の中に入っていく。


「今日は第2スタジオね」


注文書を確認しながら歩くオーナーの後をついていくと一際賑やかな空間に出た。

眼の前ではたくさんの俳優さんたちやスタッフの方がスタジオの中を縦横無尽に行き来している。

その中に居たのは。


「あゆちゃん!」


翔くんだった。

人懐っこい笑顔を浮かべてこちらに駆け寄ってくるその姿はまるで………、いや、止めておこう。


「打ち合わせ中だったんじゃない?」

「うん、でも大丈夫。
 圭子さんとあゆちゃんは納品のお仕事?」

「そう。 私は手伝いだけど。 今日は不動産屋さんも大きな仕事もないから」

「そっかー。 頑張ってね!」


翔くんは来たときと同じようにまた駆け戻っていった。

こうやって見ると、大勢の芸能人の中でもやっぱり翔くんは一際目を引く。

華やかなオーラを纏いながらもスタッフさんたちにも丁寧に挨拶をしている。

人間関係が難しいと言われるこの世界でトップの称号を持つ所以なのかなと思ったりした。

(翔くんも頑張ってね)

そう心の中で声を掛け、オーナーと一緒に指示された場所での作業を始める。

予め組んでおいたアレンジメントを並べ、セットに合わせてオーナーが担当スタッフさんとともに確認。

スマホでスナップを撮っては調整を繰り返して作業は終了した。

その後はお店に戻ってネットショップで受け付けたプリザーブドフラワーのアレンジメントを発送する準備やその花材の在庫を確認して発注したり。

今はクリスマス前で注文が増えつつあるために生花もそれ以外のものも在庫切れを起こすわけにはいかなくて、過去の売上からこの1週間以内に必要な数をはじき出す。


「オーナー、発注終わりましたー」

「ありがとう。
 今日の分が終わったら上がっていいわよ」

「はーい。
 お疲れさまでしたー」


机の上を整理し、タイムカードを打刻して私はお店を出た。

その時、ふと空を見上げる。

日本でもっとも日照時間が短いといわれる冬至まであと十数日、お日さまが天頂からはるか西に傾いていて。

スーパーに寄って夕食の材料を買って帰ろうと、時折り吹く冬の風に身を縮こませながら帰路につくのだった。


〜 to be continued 〜