注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください
あなたと始める物語は。④
〜 re-srart ~
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《ダーリンは芸能人》二次創作
彼らのマネージャーが運転する車が走り始めて30分。
私が住むマンションのエントランス前に到着した。
もっとも、結婚で引っ越す予定だったからここはあと1ヶ月で引き払わなければならないのだけど。
車を降りてドアを閉めると、その窓を開けた彼らがマンションを見上げる。
「……すごい偶然…」
「え?」
「あ、いや、なんでも。
じゃーね、おねーさん。 風邪引かないようにね」
「ありがとう!」
頭を下げてお礼を言うと、彼らは再び人好きのする笑みを浮かべて手を振り、そして車は遠ざかっていった。
それから私はエントランスホールからエレベーターに乗り、自分の部屋へと帰った。
バッグから取り出したスマホを見ると、ヒロユキとアケミからの着信LIVENET履歴が凄まじく入っている。
どうせ内容は同じようなものばかりだろう。
見るだけ無駄というか気力を消耗させかねないので、通知を切ってお風呂に入ることにした。
湯船に浸かりながら考えることは、この1ヶ月以内に次の家を契約して尚且つ引っ越しをしなければならないことだった。
婚約破棄が決定してから慌てて探しているものの、ここ!といった場所が見つからない。
特にこの部屋はかなり気に入ってたから同じレベルで探してしまう。
駅からほど近く、スーパーも徒歩圏内にある。
マンションの2階には落ち着けるカフェが併設され、宅配ボックスは1戸あたり1つずつと他より多めにあり、二重のオートロック。
部屋は全戸南向きでベランダあり、鉄線の入った防犯性の高いガラスの掃出し窓は二重サッシ、トイレ浴室洗面台は完全独立型、キッチンには収納型食洗乾燥機付き、広めのクローゼットに居室は8畳の1DK。
それでいて、この辺りの家賃相場より低め。
条件に挙げているどれかは諦めるしかないのか。
念の為にこの部屋の契約更新もしくは新規契約を願い出るも既に次の入居者が決まっているという。
(このマンション自体が満室だって言うしね…)
もうどこかテキトーなところを仮の住まいにしながらじっくりと探すか。
でも敷金とかの初期費用も馬鹿にならない。
二度もお引越しする余力は金銭的にはもちろんのこと、精神力もない。
(慰謝料に引越し費用も上乗せしたとはいえ…)
だからなにがなんでも慰謝料を払ってもらわなければ困るのだ。
子どもがいるのに、ってほざいてたアケミ。
そもそも、子どもが出来なければ、いや、だいたい既婚者や準既婚者を相手にそういう行為をしなければよかっただけなのに。
傍から見れば、人の男を奪うのが趣味のような女だったし、今回も何もされないと思ったのだろうか。
そういう面以外では本当にいい友人だった。
恋愛射程内以外の人間に対する心遣いは割とあって、でも、色恋が絡むと全く人が変わるというか。
だから新しい友人が出来るも彼女の本性を知って離れていく人は後を断たない。
(あー、仕事行きたくない)
鬱々とした気持ちのまま湯船に一度身を深く沈ませ、それから風呂からあがって寝る準備を整えるのだった。
〜 to be continued 〜