創作◆あなたと始める物語は。③★《ダーリンは芸能人》二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

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主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
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注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




あなたと始める物語は。

〜 re-srart ~

《ダーリンは芸能人》二次創作





と、気付けば三池亮太の隣には彼と同じグループの中西京介が。

声を掛けてきたのが彼らだと分かると、もしかして「カッコいい」って言ったのは私に対してじゃなかった?と周りを見渡した。

もしそうならすごく恥ずかしい…とは思うものの、他に誰も歩いていない。

デッカイ疑問符の上にさらに小さな疑問符を付けて頭を傾げる。

なんで私に声を掛けたのだろう。


「あんな修羅場、ドラマの中だけかと思ってた。 本当にあるんだね、参考になったよ」


悪びれもせずに笑いながらそう言うのは中西京介。

知らない人はいないと言われる国民的アイドルグループ Wave のメンバーで、その流し目の艶っぽさや仕草などから、「Waveのセクシー担当」と呼ばれている。

……らしい。

「らしい」といったのは、誰かが彼に向けて言ってたのを実際に聞いたわけではなくて、私の周りの Wave ファンから仕入れた情報だからだ。

それにしても、私にしてみれば人生を左右する大事件だったのに、こうも面白がられるのは全くいい気はしない。


「あー、そうですか。 お聞き苦しいものを聞かせてしまい、失礼しました。
 じゃ」


これから先、絶対に会うことはない相手に対してそっけない態度を取ってもバチは当たるまいと、私は彼らに背を向けて再び駅の方向に歩き始めた。


「え?」

「あれ?」


背中越しに聞こえてきたのは、それぞれの、戸惑いを含んだ驚きの感嘆詞。

たぶん彼らに対する一般人女性の反応とは違っていたからなんだろうけど。

残念ながら私は Wave のファンではなく、芸能人に声を掛けられてハイテンションになる質でもない。

ということで、振り返らずに駅への道をスタスタスタと歩いていく。

抱えていたプロジェクトでミスが発覚してリカバリーを終えたのが午後10時すぎ、それからの略奪カップルの待ち伏せ、まるっきりの赤の他人からはそれを面白がられ。

本当にとんでもない日だったと鬱々としながら歩いている最中、あと10mほどで駅前の交差点というところで突然後ろから腕を掴まれた。


「愛優香……!」

「! ヒロユキ…!?」

「その…、本当にごめん…。
 でも、あの、慰謝料……、本当に金がなくて…」

「……お父さまにでも泣きつけば?」

「今回の婚約破棄で勘当されたんだ…」

「あら、そう。 でもそんなこと、私には関係ないわよね? それに言ったはずよ、何かあるなら弁護士にって」

「愛優香、そんなこと言わずに…!」

「!」


縋り付くような表情で私に手を伸ばすヒロユキ。

何かされるかと身構えていた時、誰かが私の腰を抱えて彼からの手を躱し、もう一人の誰かが私とヒロユキの間に立ちはだかった。


「おにーさん、ダメだよ、そんなカッコ悪いことしちゃあさ」

「!?」

「さっきファミレスで聞いてたけど、このおねーさんの言い分は至極マトモ。 傷つけたんなら償うのが筋ってもんじゃないの?」

「おっ、お前らには関係ないだろ!」

「ま、確かにそーだけどさ。
 でもボク、傷心ながらも冷静に対応する健気なおねーさんを応援したくなっちゃった」


ニコニコと笑いながらヒロユキと対峙する Wave の二人。

これは一体どういう状況と理解すれば?と、三人のやり取りをただ茫然と見ていたのだけれど。


「―――くしゅん!」


一触即発の中、緊張感のないくしゃみが出てしまった。


「あーらら。 濡れたままだと風邪ひいちゃうよねぇ?
 ボク、家まで送ってってあげる!」

「……はぁっ?!
 い、いいわよ、電車で帰るから! 知らない人に送られるなんて意味分かんない」

「大丈夫、マネージャーもいるから危なくないよ」

「そ、そういうことを言ってるんじゃないの!」

「京ちゃん、行こ」

「京ちゃんって呼ぶなっつの」


抵抗はするものの、私を抱えていた彼の力が意外と強くて、あっという間に路肩に停まっていた車に乗せられてしまう。


「愛優香…!」

「じゃーね、カッコ悪いオニーサン」


三池亮太が後部座席の窓を開けて挑発するようにそう言うと同時に車は走り出した。

状況についていけずに呆然とするヒロユキが後方へと遠ざかっていく。

もっとも、私自身も何が起きているのか分からなくて…。


「おねーさん、大丈夫?」


心配顔で顔を覗き込まれた瞬間、我に返った。


「!! い、一体、なんなの、あなたたち!!
 っていうか、降ろして!!!」

「うーん、おねーさん、電車で帰るって言ってたけどかなり濡れてるよ? そんな状態で電車に乗ったら他の乗客にメーワクじゃない?」

「!」


現在、午後11時30分。

こんな時間でも確かにそこそこ乗客は居るから、そう言われればそうなんだけと。

だからといって見知らぬ他人の車に乗るのもおかしな話だ。


「…なら、タクシーで帰るわ」

「なにも取って食おうなんて思ってないから。
 で、家はどこ?」

「駅前で降ろして」

「おねーさんも強情だねぇ。
 わかった、このままボクたちの家に連れてくね」

「なっ……」

「イヤでしょ? ほら、早く」


人好きの笑顔で問う三池亮太。

流し目を携えてニヤニヤと笑っている中西京介。

住所を言わなければ自分の家に連れて行くなどとふざけたことを言う彼らに負けて、私は自分の家の住所を伝えたのだった。


〜 to be continued 〜