創作◆驟雨 Ⅳ −藤崎義人ルート−①★ダーリンは芸能人・二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

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このお話は、諸般の理由によりアメブロでの公開を控えている『驟雨-shower rain-』(夢小説HP・上弦の月の影の中で★ANNEXにて掲載)第4章以降の藤崎義人ルートとなります。

まだ終わりまで書き上げていませんが、中西京介ルートよりはかなり短くなると思われ。(えちえちシーンはなしの予定)

『淡雪』に出てきた人間関係も若干変わりますがご了承下さいませ(汗)



驟雨-shower rain- Ⅳ −藤崎義人ルート−

《ダーリンは芸能人》妄想2次小説






浮き沈みの激しい芸能界はヒトの欲望に従順な人間だけが残され、抗えない人間は去っていく。

一時的とはいえ時の人となった『彼女』のことは忘れ去られ、時間だけが流れていった。

『彼女』がオレたちの前から姿を消してから長い月日が経つ―――。

waveとしての活動をしながら個々の活動にも精を出し、いまやオレたちの地位を脅かすものはいなかった。

 

「じゃあ、京介。 モデルの選考会が終わったらすぐに来るのよ? いいわね?」

「りょーかい」


手をヒラヒラと振る京介を東京に残し、オレたちは北海道へと出発した。

京介は自分の家族が服飾業界にいることも手伝ってか少し前からモデルとしての活動も始めている。

どうやら今日は新規ブランドの専属モデルのオーディションがあるらしく、オレたちとは別行動となり、現地で合流することになっていた。

今回目的のロケは、いつものことながら新譜の初回限定特典として付与するコンテンツの撮影だ。

『カルデラ湖のほとりに建つリゾートホテルで休日を満喫する wave』というテーマではあるが、企画書を見る限り、秒刻みのスケジュールで満喫するどころではなさそうだ。

それでも。

彼女のことを考えずにいられるだけマシなのかもしれない。

―――突然何の前触れもなく、別れを切り出した海尋。

あんなに愛し合ったのに。

あんなに想い合っていたのに。

理由を聞いても、初めはスタプロのシステムについて不満があるようなことを言っていたものの、ただただ別れたいの一点張り。

泣きじゃくって謝り続ける彼女に根負けして別れを了承し、オレたちの関係はそこで終わった。

その少し前に宇治抹茶の松田隆実さんとの熱愛の噂が流れ始めたけれど、彼女の性格からしてそれが真実ではない上に別れたい理由だったとは思えなくて。

それでも、本当にそれが理由だったのなら……とも思うと頭がおかしくなりそうだった。

だが後日、松田さんとの熱愛はやはり真実ではなかったことがわかる。

しかしながらそれと同時に、彼女が別れを望んでいた本当の理由が再び闇の中に葬られたことになった。

松田さんに心変わりしたことが原因ならばいつかは諦めがついたかもしれないけれど。

いとこ同士での結婚も出来なくはないが、結局は二人の間にはそれ以上の関係でもそれ以下の関係でもなかったのだ。

ということは、いくら考えても本当の理由は見つからない。

彼女自身が真実を話さない限り。

―――いや、ただ一つだけ心のどこかに引っかかっていたことがある。

いつからか彼女は京介を恐れるようになり、その姿を見ただけで怯えていたことだ。

そして、彼女と松田さんの関係を京介だけが知っていたということも不可解であった。

 

『松田さんと従兄妹同士だそうです』

 

誰も知り得なかった真実を、恋人だったオレでさえ知らなかった真実を、なぜ京介が知っていたのか。

もし、彼女と京介の間に『同じ世界の人間』という関係以上のものがあったとすれば、その件は『納得』出来る。

が、突然、彼女は芸能界を去ってしまった。

京介でさえその理由を知らされずに…。


「義人ー。 次のコースに行くってさー」

「わかった」


自分のレンタルパターを持ってメンバーたちの後ろを歩いていく。

ふと前を見れば、京介と翔が何かを言い合いながら、亮太が通路の足元の悪さに文句を言いながら歩いていた。

海尋が姿を消してから10年近く経ったか。

メンバーたちにはそれぞれ付き合ってる人も出来たようだ。

交際を公表していないものの半同棲状態のメンバーもいれば、交際宣言をして着々と結婚に向けて動いているメンバーもいる。

だが、もともと一人で居ることを好むオレは、未だに他人との交流を持つことが煩わしいためにそういった女性の存在はなく。

ただ単に、海尋を忘れられないことも大きく影響しているかもしれない……。



 〜 to be continued 〜