創作◆南の島にてwith三池亮太③★《ダーリンは芸能人》二次創作短編 | 二次元のカレに逃避中♪

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南の島にて with 三池亮太③

~ Southern Island's requiem ~



《ダーリンは芸能人》二次創作短編




ホテルに戻るマイクロバスの一番後ろでは亮太くん翔くん京介くんが賑やかに喧々囂々とやっていた。

その騒がしさに気を使う一磨さんが溜め息をつきつつ3人を窘めているのはいつもの光景だ。

そんな中でふと義人くんの様子が気にかかった。

いつもとは何か雰囲気が違うのだ。

私は真後ろにいる義人くんのほうを振り返って背もたれ越しに彼に声をかけた。


「義人くん、今日は珍しいね。 本はどうしたの?」

「…本?」

「うん。 いつもなら本を読みながら車に乗ってても酔わないからって読んでたじゃない?」

「あぁ、そうだっけ…?

 ……本、……本ね」


ひとり言のように呟いて、それだけを言うとまたフィっと窓の外に目をやった。

最後に回った場所は島の北部にあり、今は南下してるわけだから右手車窓から見える海を見ているのだろうか。

…とは思ったけれど、どうやらそうでもなさそうだった。

太陽は既に沈んでいて水平線のあたりがオレンジ色に染まってるだけで、海はほとんど確認できず、暗闇が広がってるだけなのだ。


「あの…」

「---海尋ちゃん! UNOやるから後ろにおいでよ!!」


再び義人くんに声を掛けようとしたとき、後ろの座席から翔くんの呼ぶ声が聞こえた。

彼らはいつの間にかスタッフさんを巻き込んでカード遊技を始めてたらしい。

義人くんのことが気にかかりながらも、私はその輪の中へと入っていった。




ホテルに到着してすぐに、決起会なるものが開かれた。

要は撮影頑張ってという激励会みたいなものだ。


「ではこれから3週間、よろしくお願いします!」


これから撮影するドラマのプロデューサーさんの挨拶で始まった立食パーティであるが、この島の郷土料理や馴染みのある料理がテーブルいっぱいに並んでいる。

いわゆるバイキング形式で、あれもこれもと取っていくうちに持っていたお皿は山盛りになっていた。


「海尋ちゃん、それ全部食べられるの?!」

「アイドルなんだからもうちょっと控え目にすれば〜?」


スタッフさんたちからからかいの声が掛かるけれど、少なくともこの島の郷土料理は外したくなかったし、自分のキャパは分かってるので、私はニッコリと笑って「大丈夫でーす」と自分の席に着いた。

同じテーブルに着いていた亮太くんも私のお皿の盛り具合に呆れた眼差しを投げかけるが、これくらいは平気なのを知っているから苦笑するだけだ。

そんな亮太くんのお皿にもかなりのお料理が盛られていて、私が行った時にはもうなかったものまであった。


「亮太くん、それひと切れでいいから食べたーい」

「ん? あ、これ? やーだ」

「えっ、ケチ!」


笑いながら彼はそれをナイフで切り分け、フォークに刺して私の口元に持ってくる。

いわゆる、『あーん』というヤツで…。


「ちょっ、亮太くんっっ」

「食べないのー?」


フォークを差し出したままクスクスと笑う亮太くん。

私が恥ずかしがって絶対に食べないだろうと意地悪しているようだけど。

日本では食べられないようなお料理に対して遠慮なんかするもんかと、私は亮太くんがお料理を引っ込めないように彼の手を掴んで、フォークに刺さっているそれを食べた。

これまでに味わったことがあるようなないような、そんな濃厚なソースが口いっぱいに広がる。

口をもぐもぐさせながら彼を見ると呆気にとられていて。

してやったりと私は「ふふーん」とニッコリと笑った。


「はー、海尋ちゃんがそこまで食い意地がはってるとは思わなかった」

「だってー。 食べたかったんだもーん」


そうやって食事を楽しみながら亮太くんと話しているとき、離れたところで誰かが怒鳴ってる声が聞こえてきた。


「え、なに?」

「誰かが酔っ払って絡んでんじゃないのー?」


めんどくさいなーと思っていると、「義人、止めろって!!」という一磨さんの声も聞こえてくる。


「えっ?」

「は?」


私と亮太くんの驚きの声が洩れたのはほぼ同時だった。

そして同時にその方向を見ると、義人くんがスタッフさんの一人に食って掛かっていて、それを一磨さんと京介くんが抑えてるところだった。

これまで何度も一緒にお仕事をさせてもらってるけれど、あんなに激昂した義人くんを見たことはない。

いつも物静かで、声を荒げないような人なのに。

それとも、あんな彼を私が知らないだけなのだろうか。


「ちょっと行ってくる」


義人くんのことが予想外だったのか、何だか焦ったように見える亮太くんが食事の途中で席を立ち、彼らの方に向かった。

心配になって見ているとやがて義人くんはどこかへ行ってしまい、残った一磨さんたちと wave のマネージャーさんがスタッフさんたちに頭を下げている。

義人くんとあのスタッフさんの間で一体何があったのだろう?

亮太くんが席に戻ってくるまで、心は落ち着かなかった。


〜 to be continued 〜