創作◆Staticeの花言葉とともに with 中西京介93 | 二次元のカレに逃避中♪

二次元のカレに逃避中♪

主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
※他サイトにて夢小説展開中

注意 当二次創作を初めて読まれる方は、必ず先にこちら をごらんください。



Staticeの花言葉とともに with 中西京介93


~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~

 

1本目の撮影を終えた翌々日は夕方まで他の仕事をこなし、夜の帳が下りる頃に香月さんの2つめのブランドのCM撮りに挑む。

指定された時刻に遅れることなく、香月さんのビルへと向かった。

1つめのブランドとは方向性が違っているということで、都会の煌びやかな夜景とシックでセクシー系のドレスが用意されていた。

 

「えー、私、これ着こなせますかねー」

「大丈夫大丈夫。 それはオレが保証するって」

「はぁ…」

 

香月さんに軽い調子で言われたけれど、着こなす自信はハッキリいって、ない。

光沢のあるサテン地で黒をベースにし、ところどころ青色系の布地がアクセントとして使われていて、いかにも成熟した大人のためのドレスという感じなのだ。

グラビアアイドルと並んでも引け目を取らないようなプロポーションを持っているのならともかく、本当に自分に着こなせるとは思わない…。

そんな風に思いながら掛けられた衣装としばらくにらめっこしていたけれど、いまさら変更なんてあるはずもなく、私は袖を通してみた。

すると、驚いたことにそのドレスのサイズはピッタリだった。

ゆるゆるな部分もなく、きつい部分もなく。

まるで採寸したようにピッタリなのだ。

そのことに驚いていると、ドアノックが聞こえて。

返事をすると、モモちゃんが部屋に入ってきた。

 

「こんばんわぁ、海尋ちゃん! 一昨日の昼ぶりね!」

「えっ、今日もモモちゃんが担当してくれるの? ありがとう!」

 

ドレスはジャストフィットしているものの露出が多いために余りにも自信がなくてへこんでいたけれど、モモちゃんが担当してくれるというだけで心強くなる。

そんな風に二人ではしゃいでいると、モモちゃんの後ろから咳払いが聞こえてきた。

今日も誰か一緒に来たのかとふとそちらを見る。

 

「え、あ、椿さん!?」

「こんばんは、海尋ちゃん」

 

モモちゃんの後ろにいたのは、あの27時間番組で私のメイクを手直ししてくれた『カメリア』のオーナーである片山椿さんだ。

SAYAさんの話を思い出したけれど、椿さんの施術は半年以上待ちだったはずだ。

いまここに来てくれているということは、そんなに前からこの話がついてたということだろうか?

 

「腕が鳴るわねー」

「そうそう。

 海尋ちゃんってセクシー系じゃないのは確かなんだけど、素材がいいからねー」

「本当に楽しみ!」

 

褒められてるのか貶められているのかよくわからない椿さんの言葉に苦笑いするものの、お二人に仕上げてもらえば何とか形にはなるだろうと気持ちを切り替える。

そして1時間後には―――。

 

「……うそぉ…」

 

目の前の鏡には、普段の私とは違う少し妖しげな私が立っていた。

 

「完璧っ!」

「自分じゃないみたい…」

「だから言ったじゃない、素材がいいからどうにでも化けさせられるのよ」

「モモちゃん、椿さん、本当にありがとうございます!」

 

そうお二人に向かって頭を下げる。

と、椿さんの忍び笑いが聞こえてきた。

 

「?」

「そのナリでかわいくお礼を言われるとなんだか、ねぇ」

「そうね、どちらかといえば高飛車なほうが似合うわね」

「ね」

「まぁ、それが海尋ちゃんのいいところなんでしょうけど」

「さぁ、いってらっしゃい! 画面の向こうの男性陣を虜にするつもりでね!」

 

とん、とモモちゃんと椿さんに背中を押されて私は撮影場所へと向かった。

その場所は、香月さん所有の宝石店ビルの屋上へリポートだ。

屋上への扉を開けると目の前には都会の煌びやかな夜景が広がっていた。

風で靡くドレスを押さえながら、ヘリコプターの前で待っている香月さんのほうへと歩いていく。

 

「お、うまく化けたな」

 

上品なスーツを着こなして手を差し出す香月さんは危険な香りのする魅惑的な男性という設定だ。

そのせいもあり、いつも以上に大人の色香を漂わせている。

シナリオを頭に叩き込んでいなければ、この雰囲気に飲み込まれてしまっていただろう。

私は深呼吸をして、自分に与えられた役へと入り込んだ。

 

「おまたせしました」

 

そういって彼の手のひらに自分のそれを重ねる。

私の言葉に目を細めた香月さんは、ゾクリとするような妖しい微笑を浮かべ、腰を抱いた。

 

「ちょ…」

 

その瞬間、思わず素に戻ってしまい、香月さんに抗議の目を向ける。

が、不意に彼の視線を辿ると、その先には既にカメラを構えている撮影班がいた。

撮影はいつの間にか始まっていたのだ。

シナリオどおりに行くと、このあと香月さんの首に腕を回してかなりきわどいポーズをとることになる。

私はもう一度深呼吸をしてそのままシナリオどおりに演じることにした。

それから8時間掛けて、黎明の時を迎えるまで撮影は続いたのだった。

 

~ to be continued ~