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Staticeの花言葉とともに with 中西京介87
~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~
数週間後、絶対に無理をしないことを念押しされたうえ、手術予後もよいということで退院許可が出る。
そして、退院してさらに数日後。
京介くんと住むマンションに、ちがやさんがお見舞いと称してやってきた。
「傷のほうはもういいの?」
「とりあえずは。 もう少し自宅療養は言い渡されてるけどね」
「そう…。 よかった」
安堵の吐息を吐いたちがやさん。
だけどその顔はかなりやつれて、少し疲れたように見られる。
無理もなかった。
マスコミがこぞって連日連夜彼女を追いかけ回していたのだ。
私と京介くんに対する殺人未遂事件の犯人がちがやさんの異父兄であることをかぎ付けたマスコミたち。
彼女のその複雑な血縁関係は格好の餌食となってしまった…。
そして、母親である北見川璃々さんもまたマスコミに追いかけられることになる。
ただ彼女はそれを好機とみたのか、二人の男性との関係を自分の都合のいいように語ったようだ。
岡本さんの父親とは御曹司と新人女優との悲恋として。
ちがやさんの父親とは芸能界大御所との師弟関係から始まった許されざる純愛だったと。
…本当のことは彼女以外誰もわからないのだけれど。
「でね、私、アメリカへ行くことにしたの」
「え? アメリカ??」
「そう…。 日本の舞台って悪いイメージがついた俳優の起用は体裁が悪いし、スポンサーとしてはなかなか…ね」
彼女がそう言って少し自嘲気味に笑うのには訳がある。
今回のことでちがやさんはスポンサーにより舞台の主役を降ろされてしまったためだ。
佐伯さんが最後まで粘ってくれたのだけれどさすがに叶わなかったらしい。
ほとんど作り上げられていた舞台は主役の一人が突然降板させられたことで一時パニックになったけれど、何とか持ち直したとか。
「佐伯さんと副先生もそうした方がいいって勧めてくれたし。
しばらくはあっちで頑張ることにした」
そういうと、ちがやさんは少し清々しい顔をした。
確かに彼女ほどの演技力があればそこそこ上手くいくのだろう。
だからこそ、佐伯さんたちはアメリカ行きを勧めた。
大成するためにはあとは彼女の努力次第で。
ちがやさんがハリウッド女優として成功すれば、一度でも同じ舞台を踏んだ仲間として私の励みにもなる。
「うん、ちがやさんなら絶対に成功するよ。 応援してる」
「…ありがとう」
―――この数日後、ちがやさんは機上の人となったのだった。
そして、さらに数日後。
思いもかけない人が私たちの元にやってきた。
珍しくオフが取れた京介くんとまったりしていた、ある日の午後。
マンション入り口からのインターフォンの音が。
来客の予定はなかったよねと二人で顔を見合わせながらも、とりあえず出てみる。
「はーい」
『……』
「…? どちら様でしょうか??」
しばらくの沈黙のあと。
オートロックの外側にいる来訪者はようやく名乗った。
『……篠原、マナミです…』
「「!?」」
私と京介くんは再び顔を見合わせる。
二人して、」予想外の来訪者に驚きと畏怖を隠せなかった―――。
~ to be continued ~