創作◆Staticeの花言葉とともに with 中西京介86 | 二次元のカレに逃避中♪

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Staticeの花言葉とともに with 中西京介86


 
~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~
 

 

 

……―――遠くで誰かの声が聞こえる…

 

どんなときでも私の心を揺さぶる誰かが………

 

いつでも私を包み込んでくれる誰かが………

 

私を呼んで手を差し伸べてる…

 

伸ばされた手に触れるとその指先からぬくもりが伝わって……

 

暖かいこの温もりを私は知ってる………

 

…ああ、そうね…戻らなきゃ…

 

京介くんのところに―――………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――包まれた温もりに、意識を浮上させる。

開いた目が映す視界の中にいたのは、京介くん。
 

「海尋………!!!」

「……京介…くん………」

「オレがわかる?!」

 

深く沈んだままだった意識の中で、聞こえてきた声も感じた温もりも、やっぱり京介くんのものだったのだ。

そして彼の後ろに見えるのは白い天井で、匂いと周りの雰囲気からここが病院であることに気づく。

 

「よかった…。

 看護師さん、呼ぶね?」

 

京介くんがナースコールを押すと、しばらくして看護師さんがやってきていくつかの処置をしていく。

担当のお医者さまはもう少し後で来るとのことだった。

看護師さんが部屋を出た後、再び京介くんはベッドサイドに座り、私の頬を優しい手付きで撫でる。

その心地よさにうっとりとして目を閉じた。

 

「私…どれくらい…」

「3日ほど眠ってたかな。 手術も成功したんだけど、なかなか目を覚まさなくて」

「そうなんだ…」

 

そんな短いやりとりをしていると、まもなく看護師さんたちを連れたお医者さまがやってきた。

頭の中は未だぼんやりしていたけれど、いくつかの質問に答えるうちに少しずつクリアになっていく。

結果、とりあえず異常なしということで、明日以降に再検査を受けることになった。

それで異常がなければ、しばらく入院した後に退院となるようだ。

お医者さまたちの退室後、ふたたび京介くんがベッドサイドに座る。

心配そうに見つめる瞳には少し疲れが見えてるような気がした。


「……ふふ、あの時と逆だね…」

「あの時…?」

「ほら、京介くんがスタジオで」

「!!

 海尋、オレのこと覚えてる!? まさか、同じことが」

「大丈夫だよ…頭の中はスッキリしてるし、ちゃんとわかってるよ」

「よかった…ぁ……」

 

私がそう言って微笑むと、京介くんは心のそこから安堵したという表情を浮かべた。

彼がそんな顔をしたと同時に、意識を手放す前の光景が戻ってきて。

私は目の前にある、大切な存在に手を伸ばした。

 

「京介くん、大丈夫だったの!? どこも怪我してない!!??」

 

彼の無事を確かめるために起き上がろうとする。

だけど体中の痛みがそれを許さなくて、私は体を少し起こしただけですぐにベッドに倒れこんだ。

 

「いった……ぁッ」

「ちょ、海尋! 大丈夫?!」

「う、うん…大丈夫…。

 ……あのあと、京介くんは…大丈夫だったの…?」

「オレは全然大丈夫だったよ。

 それよりも、海尋の怪我のほうが酷くて…」

 

そういって京介くんが語ってくれたのは、私が気を失ったあとのこと。

同僚である警備員たちの手によって押さえつけられた岡本さんは、私が気を失う直前に感じた狂気のまま、発狂したかのように暴れ続けたらしい。

だけど聞こえてきた救急車の音とマナミさんの声で驚くほど静かになったそうだ。

 

「かなり大柄な男だったから押さえつけるのにみんな苦労してたみたいだけど、マナミの一喝で大人しくなったんだよね…。

 もう、驚いちゃってさ。

 そもそも、あの二人の関係って何なのか…」


京介くんは彼らに元から接点があったのかさえわからないようだった。

岡本さんとマナミさんの関係は、私自身もちがやさんから聞いて初めて知ったわけだけど。

それでも、激昂している人を一喝して鎮めるなんて何か理由が…?

 

「救急車の到着と警察が来たのはほとんど同じでさ、アイツは佐倉刑事に連行されてった。

 でもまだ何も話さないらしくて」

「そう、なんだ…」
「海尋は……なにか知ってるの?」
 
京介くんのその言葉に私は一瞬黙り込む。
私の知っている全てを、しかも、プライベートで非常にデリケートな部分を言ってしまってもいいのかわからなかったからだ。
それでも、今回の事件背景を最大なる被害者である京介くんに黙っているのも何か違うような気もしていて。
だから慎重に言葉を選びながら、彼に私の知りうる全てを話すことにした。
が。
考えを巡らせているうちに、病室のドアをノックする音が響く。
京介くんが病室のドアを開けるために席を立った。
 
「誰だろ…?」
「あー、山田さんかな。 さっき連絡しといたから」
「いつの間に…」
「海尋が診察受けてる時にね。 目覚めたらすぐにって言われてたし」
 
そう言えば京介くんの仕事はどうしたんだろう。
さずがに3日間仕事がなかったとは思えないけれど。
が、そんなことを深く考える間もなく、ドアが開くと同時に山田さんと母、それから弟のまーくんが駆け込んできた。
 
「海尋…!!」
「おねえちゃん!」
「お母さん、山田さん、まーくんまで…!」
「よかったよぉぉぉ」
「まーくん…」
 
枕元で安心の涙を浮かべる愛おしい弟の頭を撫でる。
京介くんとのことで迷惑をかけ、今回のことで心配させたのは確かだ。
京介くんとは違う形で芸能界での活躍を応援してくれる彼。
私は、心の底からいつも以上に彼に謝った。
 
「まーくん…心配させてゴメンね…」
「うー……。
 …もう、ホントだよ! いっつも心配かけてさ!
 今回だってさ! 今回だって……」
 
顔を真っ赤にして怒るように言ったかと思えば、最後のほうはまた涙声になって。
怒ったように言ったのは、まーくんなりの照れ隠しだったのだろう。
 
「ホント、ごめん」
「もっ、もういいよ!」
「……母さんにも心配掛けた…ごめん」
「いつだって子どもを心配するのは親の専売特許なのよ。 気にしなさんな」
「うん…ありがとう……」
「で、お医者さまは何か言ってた?」
「うん、とりあえず異常はなさそうだけど、いくつか再検査して、しばらく入院だって」
「そうなの…。 まぁ、しょうがないわね。 この機会にしっかりと休んで」
 
母の言葉に私は頷く。
と同時に、山田さんが深く頭を下げた。
 
「山田さん…?」
「お預かりしたお嬢様をこんな目に遭わせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
「本当に…こんな危険な目にあうことがわかっていたなら賛成しなかったわ」
「母さん…!」
「でも、いまさらだわね。 山田さん、どうか頭を上げてくださいな。
 海尋、もう今回限りにしてね」
「…はい。 本当にごめんなさい…」
 
それから母は入院の手続きやら海外赴任中の父への連絡やらでまぁくんを連れて慌しく病室を出て行った。
山田さんも警察への説明やらで同じように出て行く。
病室には再び私と京介くんだけになった。
 
「じゃあ、オレもそろそろ行くね」
「あ…、そういえば仕事…」
「…さすがに休みすぎたから行ってくる。 海尋は休んでて?」
 
ふわりと頭に置かれた大きな手。
触れるだけの優しいくちづけ。
そして、京介くんはやわらかく微笑んだ。
なんとなく…もう全てが終わるような気がして、私は安堵からか再び眠りについた……。
 
 
~ to be continued ~