創作◆Staticeの花言葉とともに with 中西京介67 | 二次元のカレに逃避中♪

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主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
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当《ダーリンは芸能人》二次創作を初めて読まれる方は、必ず先にこちら をごらんください。
 
 
 

Staticeの花言葉とともに with 中西京介67

 

~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~

 


 
 
 
次回へと続くエピソードを撮り終えて、今日の分の撮影は終了した。
スタッフさんたちに挨拶をして京介くんと一緒に控室に戻ろうとした時、後ろから香月さんが追いかけてきた。
 
「おーい紫藤、ちょっと待って」
「香月さん?」
「ああ、中西も一緒でいいからそこの部屋で話聞いてくれないか? そんなに時間とらせないから」
 
そう言ってるうちに一つの控室の扉を開けて香月さんが入っていく。
話と言われても何の事だか全く見当がつかず、京介くんと顔を見合わせて首をかしげつつもそのあとについて部屋に入った。
 
「オレがジュエリーショップやってるの知ってると思うけど。 そこで新しいブランドを立ち上げるんだけどさ」
 
椅子に座った途端、香月さんが開口一番そう言った。
よくよく聞いてみるとそのイメージキャラクターを私にやってほしいのだという。
もちろん、お仕事としてだ。
 
「正式なオファーは後日事務所通すけど、先に紫藤本人からやる気があるかどうか聞いとこうと思ってさ。
 で、これが企画案」
 
差し出された書類を見るとマル秘と社外秘のスタンプが押されてて、オファーが確定していないのに見てもいいのかと躊躇う。
そんな私の考えを見透かしたように、香月さんはコンセプトが気に入ってくれるかどうかがカギだからとページをめくるのを促した。
 
「ブランドのタイトルは『Aqua Queen & Blossam Princess』。
 『Aqua Queen』のほうは寒色系で統一、知的な女性をイメージしたハイクオリティーのものを。 『Blossam Princess』はパステル系で統一、手軽に身につけられるプチプライスなものをと考えてる」
 
手にした資料を見ながら説明を受ける。
それぞれが価格帯の違うブランドであるため、私のほかにもう一人が務めるのかと思っていると、驚いたことに両方とも私に務めてほしいのだと香月さんは言った。
 このブランドは女性が成長していく様を表現するために、一人で全てを演じてほしいという。
これまで私のドラマを見て、イメージ的にぴったりだそうだ。
 香月さんにそういってもらえて嬉しいけれど、今の時点では特に支障はなくてもやはり山田さんと相談しなくてはいけない。
現在、ストーカー対策もあってどこに行くにも私一人での行動は難しいからでもある。
 
「とても魅力的なお話ですけど、山田さんと相談しないと…」
「わかってるって。 ただ紫藤が興味持てる内容かどうかを知りたかった。
 で、もし事務所的にOKならやってもらえるかな?」
「ええ、喜んで!」
「よし、じゃあオレの方からラビットさんに話持ってくわ。 いったん資料戻してもらっていい?」
 
まだGOサインが出る前の企画中の案件だからと言う香月さんに資料を返した。
話はそれで終わりのはずで、私と京介くんは席を立つ。
と同時に香月さんは「あ、そーだ。」と声を洩らした。
 
「お前ら、婚約指輪買わねぇ?」
 
その言葉に一瞬思考回路が停止し、ややあって疑問の声を上げて振り返ったのは京介くんだった。
 
「―――はぁ?」
「お、いい反応♪」
 
私たちは疑問符をいっぱい頭につけて、からかうように言った香月さんをマジマジと見る。
そもそもとんでもない内容であるから当然と言えば当然なのだが。
 
「何考えてんですか、海里さん…」
「ま、半分本当で半分冗談なんだけどさ」
「は?」
「いやなー、近々メインショップでブライダルフェア開催するんだけど、お前たちがウチでエンゲージ買ってくれれば話題になるかなー、なんて。 …どう?」

原価でいいからさ、と香月さんは付け加える。
値段のことは置いといても、婚約指輪という興味深い言葉にドキドキとウキウキで心が踊り始める。
結婚適齢期に差し掛かっているからか、結婚に絡むジュエリーは他のものとは違ってみえるのだ。
………それなのに。
 
 「すみません、オレたちそういうのは考えてなくて」

京介くんの放った言葉は一気に私の心に切り込んだ。
―――考えてないってどういうこと?
―――そういうのはって結婚そのものってことだよね??
茫然とする私に香月さんは気付いたのか、少し焦りながら口を開いた。

「あ、えーっと。 悪い、オレ、先走ったみたいだな。
 でも、ま、その気になったら声掛けてくれ」

彼の言葉に京介くんは何も言わず、ペコリと頭を下げて部屋を出ていく。

「海尋、じゃあ、新ブランドのイメキャラの件、よろしくな」

香月さんは申し訳なさそうな表情でゴメンとジェスチャーをしながらそう言い、私もペコリと頭を下げ部屋を出た。
 少し前の方を歩く京介くんの背中を見ながら、私はふと考える。
京介くんの本当の気持ちが分からないよ…。
そうやって俯いたときだった。
 
「よくも恥かかせてくれたな…!」
 
怒気をはらませた唸るような声に後ろを振り向く。
そこには、土壇場で出演拒否したあの男が、その手に鋭利な刃物を持って私たちの前に現れたのだった…。
 

~ To be continued ~