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Staticeの花言葉とともに with 中西京介60
~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~
京介くんと二人で荷物を運び、衣服を元の位置に戻し終えた時、それを見計らったようにインターフォンが鳴った。
と同時に聞こえてきた賑やかな呼び声。
『海尋ちゃーん、いるー?』
『京介開けろー』
声の主が誰がかすぐ分かってげんなりする京介くんの代わりに玄関へ向かい、ドアを開けると、想像していた人たちのほかにも見知った顔がそこに並んでいた。
「えっ、成重さん来住さん…!?」
「海尋、元気そうじゃんっ」
「すまないな、押しかけて」
意外な顔触れに驚きすぎて、口をパクパクすることしか出来ない。
ほんの少しして部屋に戻らない私を追いかけてきた京介くんも、玄関の土間にずらりと並ぶ面子を見て呆然としていた。
「ちょ、これはナニゴト…」
「んー? 海尋ちゃんと京介がまた一緒に暮らすってことでお祝いー」
「はぁっ!?」
「ささっ、みなさんもどーぞ~」
呆然とする私と京介くんを尻目に、勝手知ったる仲間の部屋とばかり、亮太くんと翔くんが上がってはリビングへと向かう。
私たちが何も知らなかったということに気付いた成重さんと来住さんは上がるのを躊躇するけれど、今度はその横を『TWINS』の早乙女颯太くん楓太くんが「お邪魔しまーす」と亮太くんたちの後を追っていった。
「なんであいつらまで…」
「どこかで早乙女兄弟と繋がってたみたいだな」
苦笑する一磨さんと義人くんもいくつかの荷物を持ってリビングへと足を向けた。
諦めがついたのか、京介くんはため息をつくと玄関に残っていた2人を部屋へと導く。
そうして、二人でいるときは広すぎるリビングがあっという間に大所帯となり、テーブルには所狭しとテイクアウトのお料理が並べられた。
「海尋ちゃん、コップとお皿は持ってきたからねー」
「うん、ありがとー」
亮太くんの声にふとカウンターキッチンからリビングを眺めると、豪華すぎる顔ぶれに何とも言えない気持ちになる。
スタプロの『wave』にAlithプロの『biRth』『TWINS』。
いま芸能界で隆盛を誇っているアイドルが一堂に会する―――なんて場面に立ち会えるのはすごいことだけど、その理由が私と京介くんの再同棲を祝うからって…。
他人から見ればどうでもいい理由だし、だいたい他の人にお祝いしてもらうようなことじゃないのでは…。
「難しく考えなくていいよ。 どうせただ騒ぎたいだけだから」
私の考えを見透かしたように、隣りに立って氷を用意する京介くんがため息交じりでそう言う。
確かに、waveの5人が揃って飲む時はどちらかと言えば賑やかな会になる。
さらにそれを上回る人数になり、成重さんと颯太くん楓太くんが加わることでとんでもない状況になるのでは、なんて予想された事態は現実になりつつある。
「「海尋ちゃーん、早く座りなよー」」
楓太くんと颯太くんのハモった呼び声に、私は苦笑を洩らしながら京介くんとともにその輪に加わった。
「じゃあ。 ―――海尋ちゃんおかえりーってことでカンパーイ」
亮太くんの合図で総勢9人での飲み会が始まった。
今回『biRth』の他の3人はどうしても仕事で抜けだせなかったらしいが、彼らがここにいたら総勢12人となり、それこそただじゃすまない気がする。
そんなことをぼんやりと考えながらグラスに口をつけていた時だった。
「てか、なんで結婚しないんだよ?」
目の前の成重さんが不思議そうな顔をして私と京介くんを交互に見る。
「え、なんでって…」
「恋人のステータスで同棲するのもいいけどさー、やっぱさー、結婚て気持ちが安定するんだよな…」
ほろ酔いながらも幸せそうな表情でそう言う成重さん。
だけど来住さんの苦しい想いを知ってる私としては彼のことが気になってしまい、ちらりとそちらを見てしまう。
私の視線に気付いた来住さんは、苦笑しながらグラスに口を付けた。
「そりゃーねぇ、なるっちはアスミと結婚して幸せかもしんないけどさぁ」
「いつの間にか手ぇ出してんだもんなぁ」
アスミさんが寮母をしているという同じマンションに住む颯太くん楓太くんの二人が、同じくグラスに口をつけながらため息をつく。
するとそこに翔くんと亮太くんが食いついて。
「えっ、王様って結婚してんの!?」
「そんな情報、漏れてきてないよね!??」
わいわいとさらに賑やかになって、一磨さんが止めに入るのはいつもお決まりのパターンだ。
ただ、いつもなら翔くん亮太くんの二人を止めるだけで済むけれど、今日は『TWINS』の二人も加わっているからなかなか手こずっているようで…。
「颯太楓太も少し静かにしろ」
来住さんの注意に少しだけ静かになりながらもまだわいわいと騒いでいる。
成重さんの結婚生活に興味を持った翔くんと亮太くんたちはああでもないこうでもないと盛り上がっているのとは対照的に、京介くんは興味なさげにただ静かにグラスを傾けていたのだった。
~to be continued ~