創作◆蒼い空、遠いかなた with 中西京介⑦★《ダーリンは芸能人》妄想2次小説短編40 | 二次元のカレに逃避中♪

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アカン…やっぱり頭が冬眠状態Zzz…(*´?`*)。o○





  蒼い空、遠いかなた with 中西京介⑦


            ★


 《ダーリンは芸能人》妄想2次小説短編vol.40









「―――ちゃん、朝だよ、起きて?」


次の日の朝、そんな優しい声で起こされた。

声の感じは違うけれど、いつもと同じような優しい声音に私は半覚醒の状態で言葉を返す。


「……ん…おはよ、京介くん……………今日は…一…緒だっけ…」

「…ぷっ……。

 海尋ちゃん、寝ぼけてるの?」


まだ半分眠っていた状態の私は、その次に返ってきた言葉で一気に覚醒する。


「―――えっ、あっ…! か、かなたお兄ちゃん!?」


がばっと飛び起きると、笑いをかみ殺した表情のかなたお兄ちゃんが間近にいた。

中学生になる頃までお互いの家に泊り合いっこしてたから何度も寝起きの顔を見られているのに、途端に恥ずかしくなり、顔に熱が集中していく。

だけどかなたお兄ちゃんは私があたふたとしていることも気にせずに、ふんわりと微笑んで言った。


「もう朝ごはん出来てるから、食べよう? まーくんももう下りてるよ?」


そう言われてふと隣を見ると、一緒に寝ていたはずのまーくんは既に居ない。

部屋の時計に視線を移すと午前8時を指していて、まーくんは学校へ行く時間になっていた。


『いってきまーす』


玄関からまーくんが元気な声が聞こえてくる。

あぁ平日だったんだと何気に思っていると、今度はかなたお兄ちゃんが「先に下りてるね」と私の頭をポンと撫でて部屋を出ていった。

それから私は自分の部屋に戻り、身支度を整えてダイニングへと向かった。


「おはよう、海尋。 今日はかなたくんも一緒に行くんだって?」

「うん。 山田さんがいいって言ってくれたの」


朝ごはんを用意しながら言う母にそう返しながら席に着く。

ふと視線を感じて顔を上げると、母はどこか不安げな表情で私を見た。


「ん?なに??」

「……なんでもないわ。

 それより、山田さん、迎えに来てくれるの?」

「うん。 ―――いただきまーす」


母の不安そうな表情を不思議に思いながらも、私は両手を合わせていただきますをする。

そうして、かなたお兄ちゃんと一緒に食事をした。


「海尋ちゃんの仕事場に突然押し掛けることになっちゃってゴメンね?」

「え? あ、ううん、別にいいよ。 山田さんも許可くれたんだから大丈夫なんだよ」

「そっか。

 TV局の中なんて絶対に縁がないと思ってたから嬉しいよ。

 海尋ちゃんがお仕事してるところも見られるわけだし」

「う……それはちょっと恥ずかしいかも。

 今日は生番じゃなくて収録だからまだ気楽だけど」


そんな風に他愛のない話をしながら朝食を終えてそれぞれの部屋に戻り、私は簡単なメイクをして出掛ける準備をする。

山田さんが迎えに来てくれる時間少し前にかなたお兄ちゃんも部屋から出てきた。


「……!」


初めて見るかなたお兄ちゃんのスーツ姿に一瞬見惚れてしまう。

実際、山田さんが近くにいて男の人のスーツ姿なんてしょっちゅう見ているのに、これが生まれた時から近くにいたお兄ちゃんとなると少しだけドキリとした。

何も言わない私にかなたお兄ちゃんは少し苦笑しながら「似合わない?」と聞くので、ブンブンと首を振り、力を込めて言う。


「ううん、すっごく似合ってる! かっこいい!!」


私の興奮気味の言葉にかなたお兄ちゃんは少し照れた笑顔を返した。


「あ…お兄ちゃん、ちょっとネクタイ曲がってる…」


そう言って少し緩めて締め直してあげると、お兄ちゃんは小さな声で囁くように言う。


「……こうやってると新婚さんみたいだね」

「えっ……」


思いがけない言葉に心臓が激しく鼓動を打ち出す。

その瞬間思い出された、小さい時の言葉―――。


『みひろ、ぜぇったい、かなたおにいちゃんのおよめさんになる!』


あの頃は自分の世界とかなたお兄ちゃんが全てだった。

いつも近くにいた彼が大好きで、それは中学生になっても変わらなくて…。

京介くんと出会わなければ、そして、お兄ちゃんがずっとそばにいてくれてたのなら―――。

だけど、私は出会ってしまった。

誰よりも、自分以上に大切な京介くんに。

だから…。


「―――出来たよ、かなたお兄ちゃん」


私はお兄ちゃんの言葉を気に留めないような素振りで、にっこりと笑いかけた。

その瞬間、かなたお兄ちゃんの表情が少し切なげに見えて。


「……そんなこと言うと中西くんに怒られるね」


ちょっと言い過ぎたというような曖昧な苦笑を洩らし、お兄ちゃんは「ありがとう」と言って私から離れていく。

私は少しだけ寂しくなった気持ちに蓋をして、お兄ちゃんより先に階段を下りた。



~ to be continued ~