苦しい≠苦しい 9 おしまい | 夢 出会い 魔性

夢 出会い 魔性

日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




朝ごはん食べてからご主人さまは、ごく当たり前に服を着てる。

帰り支度ってやつ。

さみしい
けど仕方ない

服を着たご主人さまがベッドのふちに腰掛けてた。

わんわんはバッグからパンツ出してピラビラ振って見せた。

ほらほら、ゆうべはノ/ーパンだったけど穿いちゃうよ~みたいな(笑)


「あっ」

「なに」

「マーキングしてもらってない~」

「いいだろ、もう(笑)」


ご主人さま、もうお洋服着てる。
なんていうか…オンとオフのスイッチが切り替わったみたいに感じた。

パンツだけでマーキングしてもらいたがってるわんわんに、ちょっと苦笑い気味。


「あのねぇ、ここに…」

「なんだよ(笑)」

「…マーキング…キスマークキスマークここに~」


ちっちゃいおっぱいをグイッと張って、ここ、ここ、って指差しながらご主人さまにおねだり。

苦笑いしてるけど、両手が広がってるよ、ご主人さま。

(ほら、おいで)ってことでしょ、ご主人さま。

ご主人さまの両手がわんわんの腰を抱き寄せて、口唇が胸元に柔らかく貼り付いてくる。

ぎゅっと、両手でご主人さまの頭を抱え込んだ。
弾力のある髪が気持ちいい。

ご主人さまはお洋服を着てて
わんわんはほぼ裸んぼ

夜と朝のすき間、とか
夢と現実のすき間、とか
オンとオフのすき間、とか

わずかにしか存在しない時間のすき間に、スコンと堕ちたみたいだ。

わずかだから、すぐにすき間の次が来る。
朝とか現実とかオフとか。

それが判っているから切なくて苦しい。

わたしが服に手を通したら、おそらくすき間の時間は終了だ。

「いくか」

「うん」

ほら、完全に終了。

ホテルの自動ドアが開いて外の空気を吸ったら、ゆうべのこと思い出した。

「外の空気は気持ちいいね」って言ったら、ご主人さま笑ってた。




わんわんの運転で、ご主人さまを最寄駅まで送ってった。

「ありがとう」

「…うん」

「なに、その顔(笑)」

あは、きっとまたわたし、泣きそうな顔してるんだろう。
行かないで~、って顔に書いてあるに違いない。


「…気をつけてね」

「ああ(笑)」

ご主人さまが車を降りて歩いてく。

少し歩いたとこでこっちに振り向いた。

わんわんの車は1ミリも動いてない。

ご主人さまが手を振ってる。

わんわんも手を振った。

ご主人さま…きっとご主人さまが見えなくなるまで、わんわんの車は1ミリも動かないって気付いたんだろう。

何度も何度も、こっちを振り返って手を振ってくれてる。

わんわんはずっと手を振ってた。
いつご主人さま振り向いてもいいように、ずっと。

見えなくなるすぐ手前でこっちを見て、パタパタって手を振ってくれた。




もうご主人さまはみえない。